五輪開幕まであと5年、拡大するインバウンド市場に海外の日本投資も加速
インバウンド市場の拡大、海外企業はどうみる?
では実際に、日本に進出して事業を拡大している企業は、インバウンド市場の拡大にどのような期待を寄せているのでしょうか。 オンライン決済サービス大手の「PayPal」で日本地区担当マネージャーを務めるエレナ・ワイズ氏は、7月20日に行われた同社の事業説明会の場で、インバウンド市場の拡大を今後の日本における事業戦略において重要なキーワードのひとつであるという認識を示し、訪日外国人観光客が日常的に利用しているPayPalを日本国内でも使えるようリアル店舗への導入拡大や日本企業へのマーケティング支援などを積極的に行いたいとしています。PayPalは世界203の国・地域で1億6900万人にモバイル決済サービスを提供しており、外国人観光客にとっては馴染みのあるサービス。その利用者基盤を日本国内でのインバウンド消費拡大に活用していきたい考えです。 一方、2010年にスペインで創業し、2014年に日本に参入したオンラインチケット取引サイト「Ticketbis」で日本・韓国担当マネージャーを務めるJavier Corbacho氏(ハビエル・コルバチョ)は、取材に対して「グローバル企業として、インバウンド市場の成長と訪日外国人の増加に大きく期待しています。2020年の東京オリンピックに向けて、Ticketbisの多言語プラットフォームを利用して、訪日外国人に向けて日本のエンターテインメントやスポーツイベントを積極的に訴求していきたいですね。また、先日発表したF.C.東京との提携のような、パートナーシップによる公式チケットの販売も強めていきたいと考えています」とコメント。同社は創業から4年で世界40か国以上にサービスを展開し、年間売上71億円にまで成長している新興企業で、PayPalと同じく海外での支持を日本でのインバウンド消費拡大と国内ユーザーの拡大に繋げていきたいという狙いがあるものと考えられます。 このように、2020年のオリンピック開催に向けたインバウンド市場の拡大は、海外企業の日本における事業拡大、投資拡大にも大きな影響を与えています。こうした動きが日本経済の活性化にとって新たな起爆剤となるかどうか、今後の動向に注目したいところです。 (執筆:井口裕右/オフィス ライトフォーワン)