【未知なるフィリピン美食新時代②】 手づかみで食べるワイルド焼鳥に 大盛りライスがフィリピン流
フィリピン・ネグロス島の料理は、砂糖産業で栄えた歴史と多様な文化を反映したもの。スペイン、アメリカ、中国、マレーなどの影響を受けながら、独自の多様性を形成しています。島の北西部に位置するバコロド市周辺には、旅行者も入りやすいレストランが多く、変化に富んだローカルフードを楽しむことができます。 【画像】手前がグアップルパイ。お店の方がグアップルの実(奥)を持ってきて見せてくれた。
バコロド発祥の「チキンイナサル」
バロコド発祥といわれる「チキンイナサル」。イナサル=焼くという意味で、要はフィリピン流の焼鳥です。味付けは店によって異なりますが、酢や醤油、鶏油、生姜、にんにく、カラマンシーなどでマリネした肉に、真っ赤なアナトーオイルを塗りながら炭火で焼くのが基本。見た目こそワイルドですが、日本のたれ焼鳥に比べると甘みは控えめで、素材本来の旨みが際立ちます。 もも、むね、ペタ(ぼんじり)、内臓類など部位別に注文でき、お値段は日本円で1本100~300円ほど。好みでカラマンシー(柑橘の一種)を搾ったり、唐辛子をかじりながら食べます。これに、たっぷりのライスを添えるのがフィリピンスタイル。お米はパラッとした粘り気のないインディカ米です。 一緒にオーダーした牛すじのスープ「カンシ(Cansi)」は、コラーゲンたっぷり! といった感じの、とろっとした口当たり。この地域で酸味料として使われる果実、バトワン(Batuan)を使うのがポイントだそうで、牛の濃厚な旨みをキュンと引き締めています。これぞ体に染みわたる滋味。 現地のお客さんは、ほぼ手食。郷に従いマネしてみると(ビニール手袋もある)、フォーク&ナイフよりずっと食べやすいことが分かります。骨際の肉をはがし、ごはんに絡めて食べると最高だということも。ごはんはそのままでもいいのですが、アナトーオイルをかけ、ガーリックチップをふりかけるとこなれた仕上がりに。 なぜチキンイナサルがバコロドの名物なのか? バコロド市を含むネグロス島は昔から闘鶏が盛んで、開催時は多くの人々が集まり、その場で食事を楽しむのが習わしだそう。そこで気軽に食べられるチキンイナサルが人気を呼び、次第に専門店が増えてきた――というのが通説です。 アイダズ チキン Aida's Chicken