[大童澄瞳さん]「映像研には手を出すな!」の漫画家は発達障害…小中学校は不登校気味、通信制高校で映画作りに熱中
急なスケジュール変更が苦手
――最近、Vチューバー(仮想のキャラクターを使う動画配信者)としても活動されていますが、その中で、自分の特性として「急なスケジュール変更が苦手」とおっしゃっていましたね。 ASD(自閉スぺクトラム症)の中には、計画が変わることが苦手で、ものすごい負荷を感じる人たちがいるんですね。自分の想定と違うことが起きたときに、パニックになってしまって、どう対応したらいいのかわからない。(※ASDは、対人関係を築くのが苦手な幅広い発達障害の総称で、自閉症やアスペルガー症候群などを含む) 私も急な予定変更が苦手です。私の場合、漫画を描くという大きなスケジュールがあって、その休日の期間に、別の仕事を入れたりして、一定のリズムで生活していますが、そこに突然、イレギュラーなことが起きると、不安に襲われます。 実際に歯医者さんに通う必要が生じたときに「週1回、歯医者さんへ通うとなると、1日、漫画の作業ができなくなってしまう」「スケジュールがすべて立ちゆかなくなる」と不安になり、精神的な負荷が強まってパニックみたいなところまでいってしまいました。 ――歯医者さんへの通院だけで不安になるというのは大変ですね。 幼少期、小学校入学前から、親からどこかに行こうと言われると、「そこって怖い?」みたいなことを聞いていましたね。本当に怖がりで、新しい何かが起きることが苦手。学習障害だけでなく、ASDの傾向が強いかなと思います。 新しいこと、知らない物事がとにかく怖い、予期しないことが起きたとき、見通しのたたない不安でやられてしまう。
小中学校で不登校気味に
――小学校には通学できたのですか。 小学校2、3年生のころから学校を休みがちになりました。行けなくなってしまったのは、複合的な要因があります。もともとおとなしい性格であって強い主張ができないというのもあったんですけど。 周囲に強い緊張感を与えるような先生がいたこともありました。無言でクラスに入ってきて、しかめ面をしているような先生。そういうプレッシャーに弱かったという記憶もあります。 学習障害という点では、宿題を忘れることがありました。クラスの学習のペースについていけず、なんとか、ごまかしごまかし、やっていると段々ボロが出てくるとか。 小学校1年生としては知識もありましたし、しゃべるのも得意だったんですが、しゃべりで100点を取れる教科はない。漢字が書けない、教科書が読めないということで点数をつけられて。学校の中の物差しでは、なかなか自分の秀でたところを見いだしてもらえないというところで、少し劣等感を抱えたり、不満を抱えたりみたいなことはありました。 いじめとか学校の環境に嫌気がさして転校したことがあるんですが、転校した先に3日ぐらいで行かなくなって。6年生のときはほとんど行かない状態になりました。 ――中学校ではいかがでしたか。 不登校の生徒向けのクラスがあって、そこに通っていました。出席日数は2割弱ぐらい。少人数のクラスで3人から4人ぐらいいました。 自分が本来、在籍しているクラスもあるんですが、登下校時に、そのクラスメートと会うのが肩身が狭くて嫌だったので、時間をずらしたりして、ほぼ接触しないようにしていました。だから、クラスメートの名前は一人も知りません。