ユニクロが定義する「最高の商売」の原理原則があった…!リピーターをがっちりつかむ「強さの秘密」
ユニクロの定義する最高の商売とは?
たとえば「商売の原理原則」には「最高の商売」についての原理原則があります。ユニクロの定義する最高の商売とは「一つの完成された商品だけを大量に売るような商売である」とあります。 そして、「今我々は多種多様な商品を売っているが、実はそれは決して最高の商売とはいえない」ともあります。 これはどういうことかというと、ひとつの品目の永続的な改善の重要性を訴えているのです。 たとえば、スキニージーンズならスキニージーンズをどんどん改善し、他社が追いつけないような品質まで高める。しかも、買いやすい価格で、毎年品質を良くする。商品開発を究極まで突き詰めれば、同じ商品でも常に完成度が上がるので、飽きられません。 そうした積み重ねが「定番」をつくりあげ、リピーターをがっちりとつかみます。わかりやすいのがヒートテックで、年間1億枚以上売れるモンスター級の定番商品です。しかも、「極暖」などのアップグレードバージョンの商品が継続的に投入されています。 ここまでくると、お客さまの気持ちは「去年大量に買ったから今年はヒートテックは要らないね」とはなりません。「今年もそろそろヒートテックを買わないと」になります。 ユニクロはものすごい数の商品を扱っているからこそ、この原理原則が働く人にとって重要になります。 「一個の商品を良くしようというマインドを失わないように」というアンチテーゼの意味もあるでしょう。商品を企画開発する人からすれば、「あっちの商品を頑張るから、こっちの商品はこれくらいでいいか」と手を抜きたくなるときもあるはずです。 一品一品に魂を込めることこそ、売れるものをつくる最適解だよという戒めにもなっているわけです。 * * * このような「原理原則」よりも、日々の業務のオペレーションを明記したマニュアルのほうが大切だと思う読者もいるかもしれない。しかし筆者の宇佐美氏は、特に巨大な組織においては、マニュアルだけでは意味がないと指摘する。詳しくは後編記事〈ユニクロが「マニュアル」よりも「原理原則」を重視するワケ…生産性を大きく左右する「仕事のルール」〉で解説する。
宇佐美 潤祐(元・ファーストリテイリンググループ執行役員)