”7期連続減収減益”だった「サンリオ」がまさかの大復活…!ディズニーランドを運営する最強「オリエンタルランド」を圧倒的に凌ぐ「意外な数字」
過去最高益を達成したサンリオ
身長はりんご5個分、体重はりんご3個分――。 思わず笑みがこぼれるメルヘンなプロフィールを持つキャラクターと言えば、そう、ハローキティです。いまや世界中で愛されるハローキティは、2024年で生誕50周年を迎えました。 【図表】オリエンタルランドを凌駕する数字も…サンリオの意外な利益構造はこちら! 実は彼女、ロンドン郊外の生まれという設定。 6月25日、訪英中の皇后両陛下を迎えて開かれた公式晩餐会でも話題にのぼり、イギリスのチャールズ国王が「ハローキティ、お誕生日おめでとう」と祝う場面もありました。 そんなロングセラーコンテンツの生みの親であるサンリオの業績が絶好調です。2024年3月期の売上高は前年同期比37.7%増の999億円、営業利益は同103.5%増の269億円と、いずれも過去最高を記録(図表1)。営業利益率も27%とかなりの高水準です。 ただし、ここまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。 図表1を見れば一目瞭然。2014年3月期から2021年3月期まで7年連続減収減益という“冬の時代”があったのです。新型コロナウイルスに追い討ちをかけられ、2021年3月決算ではついに33億円の営業赤字に転落。しかしそこから、わずか3年でサンリオは過去最高の売上高と営業利益を達成します。 本記事では、サンリオのビジネスモデルの秘密に迫りながら、今回の増収増益の背景を探ります。
サンリオの「真の姿」に迫る
サンリオのビジネスモデルを解く鍵は、営業利益率にあります。 前述の通り、2021年3月期に33億円の営業赤字に陥ったサンリオでしたが、2024年3月期で前期比103.5%増の269億円の営業利益を叩き出しました。ここでP/Lの構成を見て、詳しい営業利益率を確認してみましょう(図表2)。 2022年3月期の営業利益率は5%で、いたって平凡な水準でした。しかしながら、翌年は18%、直近では27%とわずかな期間で利益率は5倍に伸びています。 そしてこの劇的な改善の裏にあるのが、サンリオの特徴的なビジネスモデルなのです。 図表2で示されているように、サンリオの原価は20~30%台。ではなぜサンリオの原価率はここまで低いのでしょうか。その答えは、図表3の同社の売上高構成を見ればすぐに分かります。 なんと売上の86%を稼いでいるのは、商品販売とライセンス事業。サンリオは自社でIP(知的財産)を保有しているため、ライセンス事業では原価がほとんど発生しません。また販売する商品の原価も低いと予想されます。 一般的に小売の原価率が70%前後と言われる中、サンリオはその半分以下の28%。つまり損益分岐点が低いため、売上規模が大きくなれば、それだけ利益も出しやすくなります。 実際、図表4を見ても分かるように、2022年3月期から2024年3月期にかけて売上高が1.9倍(527億円→999億円)に増えた一方、原価は1.5倍弱、販管費は1.4倍強。売上の増加に対して、原価と販管費の増加が相対的に少ないことから、営業利益は10倍以上(25億円→269億円)に増えています(図表4及び図表5)。 サンリオピューロランド等のテーマパーク運営のイメージが強いサンリオですが、その売上構成比は13%と微々たるもの。ハローキティなどのキャラクターを活用した商品やライセンスビジネスでしっかり利益を稼ぐ。それがサンリオという企業の真の姿なのです。