中山にもかつて“競馬場前駅”があった!? 京成杯AHを前に京成と競馬の関わりを深堀り
今週末から秋の中山開催がスタートし、秋の飛躍を目指す有力馬の走りを見るために足を運ぶファンも多いのではないだろうか。関東地方に2場あるJRA競馬場で東京にあって中山にないもの、それは“前駅”である。東京競馬場のアクセス路線である京王には府中競馬正門前駅があるが、中山競馬場には見当たらない。しかし今から約70年前まで、8日(日)メインの京成杯オータムハンデ(3歳上・GIII・芝1600m)で寄贈賞を提供する京成電鉄には、競馬場の付近を走る京成本線に中山競馬場前駅があった。 【写真】今年の京成杯AHに出走するアスコリピチェーノ 京成杯AHに加え、冬には3歳重賞の京成杯に寄贈賞を贈るなど、競馬とのつながりも深い京成電鉄。ルーツは千葉県成田市にある成田山新勝寺への参拝輸送などを目的として、1909年に京成電気軌道株式会社として産声をあげた。現在では東京と千葉に計7路線を持ち、特に都心と成田空港を最速36分で結ぶ「スカイライナー」は、日本と世界をつなぐ役割も担うフラッグシップトレインだ。 かつて存在した中山競馬場前駅は臨時駅で、開業したのは京成電鉄社史によると1935年10月1日のこと。当時は現在の主要アクセス路線の一つとなっているJR武蔵野線の開業前で現在、動く歩道が設置されている船橋法典駅などなかった。それだけに東洋一の規模と謳われた中山競馬場を目指して、開催日には多くのファンが胸を高まらせながら乗り降りしたことだろう。 その後1953年9月、沿線開発やスピードアップを目的に追い抜き設備が設置され、中山競馬場前駅は東中山駅として常設化。ただ「競馬場前」駅ではなくなってもビッグレース開催時に多くの乗降客でにぎわう姿は今も変わらない。昨年の有馬記念当日には約1万人が利用。現在は実施していないが、以前は開催日に特急列車などを臨時に停めていたこともある。停車を取り止めた今でも駅係員の増員を実施し安全な輸送を行なっている。 長い年月を経て、地域や競馬界に深く根付いている京成電鉄。東中山駅構内には蹄鉄や中山競馬場インフォメーションボードが設置されており、競馬場の協力を得ながら最寄り駅としてムードづくりが行われている。また京成杯AH当日には、JRAオリジナルグッズや京成関連施設のチケットが当たるプレゼント抽選会も駅にて実施。駅の名前は変わっても今なお競馬を盛り上げる気持ちに変わりはない。