「中島らもや吾妻ひでおの本に書いてあった通りだ!」 ストロング系飲料を「1日10缶」飲んでいた男が、断酒した後に体に起きた“異変”
そこで、まずは強制的に酒はやめさせられた。正直、自分でも「誰かに止めてもらわないと……」と思っていたので「助かった」と思った。自分ひとりの力で減酒や禁酒、断酒はできないのである。家族や友人たちのサポートが必要になる。 すると、1カ月でγ-GTPはすぐに200程度に戻った。同時にストロング系の人工甘味料を飲まなくなったからか、暴食はやめて、可能な限り1日3食取るようにしたところ、HbA1cも途端に5.5%に戻った。大体のことは酒をやめればなんとかなる。
また、「レグテクト」という飲酒欲求を抑える薬を処方されたおかげか、8年近く夜になるととどまることを知らなかった「早く泥酔して失神するように眠りたい」という願望もなくなった。 ■現在、忘年会や宅飲みをするときは… ただ、それを処方されたのも半年程度なので、今は自分の思いで飲酒欲求は抑えている。周囲からは「えらい、えらい」と褒めてもらえるのだが、最近は飲みたいという気持ちも復活しつつある。 筆者が飲まなくなってから登場した、アサヒビールの「マルエフ」、サントリーの「翠ジンソーダ」、リニューアルした「-196ストロングゼロ」のCMを見ると心が揺らぐ。これが昔みたいに「ゴクゴク……ぷはぁ!」などと音声を入れられていたら耐えられなかっただろう。「アルコール健康障害対策基本法」の賜物だ。普通の人にしてみれば、「だから、なんだ?」と思われるかもしれないが、あの音がどれだけ、アルコール依存症患者にとって危険なのか身に染みてわかるようになった。
さらに、コンビニに行ってもコカ・コーラの「ジャックダニエル&コカ・コーラ」やアサヒビールの「未来のレモンサワー」がある。飲んでみたいが、ちょっとでもアルコールを口にすると、一気に結界と覚悟が崩れてしまい、スリップ(断酒失敗)してしまうことは十分わかっている。 その飲酒欲求に打ち勝つため、会社での忘年会や宅飲みをするときは、自分が飲んでみたい酒を大量に購入していく。それをタダで飲んでもらい、相手が酔っていく姿を見ているときに「あぁ、楽しそうだな……」と喜びを感じるのだ。懐かしさと一抹のセンチメンタルさを味わいながら、自分専用として購入したノンアルコールビールを6缶すべて飲み干す。