韓国大統領「非常戒厳」宣布で起死回生狙ったか
尹大統領は戒厳司令官にパク・アンス陸軍参謀総長を任命した。非常戒厳の宣布とともに、戒厳司令官は戒厳地域のすべての行政事務と司法事務を管掌することになる。 戒厳司令官は非常戒厳地域で軍事上、必要である場合に、逮捕や拘禁、捜索、居住、移転、メディア、出版、集会などの団体行動に対して特別な措置を行える。 パク戒厳司令官は12月3日午後11時に「国会と地方議会、政党の活動と政治的集会、デモなど一切の政治活動を禁じる」とする戒厳司令部布告令第1号を発表した。
布告令はさらに「自由民主主義体制を否定したり、転覆を試みる一切の行為を禁じ、フェイクニュースや世論操作、虚偽扇動を禁じる」とされている。 また「布告令に違反する者に対しては、大韓民国戒厳法第9条(戒厳司令官特別措置権)によって令状なしに逮捕拘禁、押収捜索などが可能であり、戒厳法第14条(法則)によって処分される」と明らかにしている。 ■国会は非常戒厳解除要求案を可決 共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「違法な非常戒厳は無効であり、尹大統領はもはや大統領ではない」と述べた。与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表も「違法な非常戒厳が宣布された。国民とともに事態進展を防ぐ」と述べている。
韓国の全国紙『ソウル新聞』の報道によれば、戒厳軍が国会に侵入し周辺にバリケードが設置されていると伝えている。しかし、12月4日未明に190人の議員が出席した中、韓国国会は反対ゼロで「非常戒厳解除要求案」を可決、国会議長は非常戒厳の無効を宣言した。 韓国憲法では、国会が過半数の賛成で非常戒厳の解除を要求した際には、大統領はこれを解除しなければならないと規定している。非常戒厳宣布から2時間半後の国会での可決となった。
福田 恵介 :東洋経済 解説部コラムニスト