『薬屋のひとりごと』と『プリキュア』の深い縁 猫猫は“優秀過ぎる”ヒロインに
まるでおとぎ話のプリンセス? 身近にいる「王子さま」
制作陣とキャストから一転、物語の構造の観点から見ると猫猫はほぼプリンセスである。 アニメ2クール目にして壬氏が“ただの宦官でない”と明らかになりつつあることを踏まえると、猫猫もただの下女とはもはや言えない存在。壬氏の正体を考慮すれば、猫猫はおとぎ話の主役のような非常にレアな立場にいるのだ。 しかも面白いのは、猫猫がまだ壬氏の正体に気づいていない点。宦官だと思っているためか猫猫は壬氏に対して性的な面でも何かと不注意な言動が多く、それが壬氏の心を揺るがす要因となっているのは間違いないだろう。 なお、毒と薬が好きな一介の下女であった猫猫の身の上についても、徐々に新たな事実が露わにされていく。意外に箱入り娘……かもしれず、やがて猫猫と壬氏はお互いの関係についてさまざまな障壁を感じることになるだろう。 2人の生い立ちについてはまだ明らかにされていない部分が多いものの、猫猫がプリンセスに近い立場にあるために、本作の恋愛作品としての魅力が増しているのは明らかだ。マンガで本作を楽しんでいる筆者からすれば、壬氏の正体について猫猫が勘繰り始めるのが待ち遠しくてたまらない。 放送開始から3カ月以上が経ってもなお、視聴者の心をつかんで離さない『薬屋のひとりごと』。その人気の背景には、猫猫のヒロインとしての才覚と実力がたしかに隠されている。
三山てらこ