綱啓永&久保史緒里の圧倒的オーラにやられた…最終回の見どころは? 夜ドラ『未来の私にブッかまされる!?』考察レビュー
綱啓永と久保史緒里の魅力
あらためて綱啓永と久保史緒里の演技に魅せられた人も多いのではないだろうか。 2022年のドラマ『君の花になる』(TBS系)で一躍世間の目に止まり、今年は月9ドラマ『366日』(フジテレビ系)への出演もはたした綱は、今作がNHKドラマ初出演にして初主演。真面目で不器用で少々カタブツなところはあれど、何事にもひたむきな頼人は綱自身の魅力も重なり、その一挙一動を応援したくなる愛すべき主人公になった。 “アイドル”という枠組みだけに止まらず、ラジオや舞台など幅広い活動を行う久保は、2023年の大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)の好演が光り、今作のチャンスを射止めたのだろう。すっかり保守的になっていた凛が、自分を縛りつけていたあらゆるものを象徴する“メガネ”を外し、堂々としたヒロインへ覚醒した瞬間、その圧倒的なオーラに、すっかりやられてしまった。 個人的な“推しキャラ”は、ロボツクールの中枢を担うブレーン(東野絢香)。 革新的な発明を次々に繰り出す奇才で、東野の澱みない関西弁も心地良い。ロジカルな性格でありながらも情に厚いブレーンは、物語に勢いを与える存在だ。高橋克典や坂井真紀などベテラン勢の実力も合わさり、フレッシュな魅力を放ちながらも、しっかりと芯を感じる作品に仕上がった。
自らの固定観念を突き崩すために、 凛のブッかましが始まる
頼人と同じくらいグッときたのが、凛と30年後の姿であるオバサンの物語である。オジサンが30年前の頼人に会いに行ったことを知り、自分も人生を変える権利があるはずだと令和の時代に向かったオバサン。 母から継いだクリーニング屋を閉め、ネット通販のアパレル会社の社長として成功を収めていた。しかし、あのタイミングで結婚や妊娠をせず、仕事に打ち込んでいたら、事業はもっと軌道に乗っていたのではないか――そんな思いがずっと心に残っていたのだ。 「普通の家庭を築きたい」という固定観念に縛られていたことを自覚した凛は、自らを変えるために、なんと恋愛リアリティーショー『行かないで!かぐや姫』に出演を決意。頼人もオバサンも驚く、凛のブッかましが始まるのだ。 『行かないで!かぐや姫』の放送終了後、凛はリメイク服の販売に本腰を入れる。そのスピードの早さにオバサン自身も「あなた本当に変わったわね」と関心するのだが、凛は未来の自分をまっすぐに見つめてこう答える。 「あなたに追いつきたいからね」 「目標ができたから。あなた、っていう目標が」 夢に突き進む頼人、そしてなによりも、好きなことに邁進する未来の自分自身に、凛は勇気をもらっていたのだ。もともとオバサン自身も、現状への悔いがあったからこそタイムスリップしてきた。 そんな中で、若き日の自分から「あなたに追いつきたい」と肯定されたことは、どんな後悔をも吹っ飛ばす瞬間だったのではないか。なにか足りないと悔いていた今の自分を褒めてあげてもいいのだと思えたはずだ。