【有馬記念】自力で夢切符つかんだハヤヤッコの強さ 前走豪快Vの〝秘密〟/新人記者のトレセン日記
[GⅠ有馬記念=2024年12月22日(日曜)3歳上、中山競馬場・芝内2500メートル] 【新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記】 有馬記念に出走するハヤヤッコ(牡8・国枝)の前走・GⅡアルゼンチン共和国杯は最後方からの豪快な差し切り。美しい白毛の馬が駆け抜けていく姿はとても印象的でしたが、あの激走には、「驚いたよ」と管理する国枝調教師さえもビックリしたそうです。 新馬の時から約7年間共に過ごしている田村助手に聞いてみると「レース前にカイバの内容を変えてエネルギーを詰め込むような感じにしたんです。(それもあってか)元気良くなって、競馬前にコントロールするのが大変でした。それが良かったのかも」と振り返ります。もちろん今回も「その雰囲気でやろうかな」と師と話しているそうです。 前走後はややピリピリ。「気持ちがすり減るくらい頑張ったということ」と田村助手は愛馬をねぎらいつつも、それもあっていったん短期放牧へ。「在厩(調整)か迷ったのですが気持ちをリフレッシュさせたいと先生に話して放牧に出しました。休み明けの方が成績がいいような感じもしますし」と経緯について教えてくれました。 「いい感じでリフレッシュできた」というハヤヤッコは帰厩後、通常運転かと思いきや、1週前は自己ベストの調教タイムをマーク。「先週は間違えて快速に乗っちゃったみたい」と田村助手は冗談交じりに話しつつ「予想外だけど直線は追い通しだったから」と速い時計が出た理由を考察してくれました。今週はいつも通り劣勢で遅れてしまいましたが、鞍上に「無理しなくていいよと伝えたので、いつも通り通常運行」。気分屋さんなのもいつも通りです。 そんなハヤヤッコの強さを田村助手はこう話します。「胸を借りるどころではない。普通なら出られるような実績馬が出走表明をしても出られない中で、自分で稼いだ賞金で出るんだから。出走するだけで強いよ」。自らの力で有馬記念の舞台をつかみ取った、その能力をたたえました。 「自分の色(白帽の1番枠)を引いてこいよ~」。洗い場でハヤヤッコの手入れをしながら話しかけます。有馬記念初となる白毛馬の出走。それが白の枠だったら、なんて最高なんでしょうか。ハヤヤッコなら誰しもの記憶に残る一戦にしてくれるはずです。
栗栖 歩乃花