『ドクターイエロー』内部取材の秘蔵映像 走りながら「こんなに近くで見られる!?」車両の中に階段…その上に特別な座席が1つ
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「幸せの黄色い新幹線」とも言われ人気の『ドクターイエロー』が2027年をメドに引退することが発表されました。そこで過去に車両内を取材した秘蔵映像を振り返ります。 目を見張る黄色のボディが特徴的なドクターイエロー。東海道・山陽新幹線の線路や架線などに異常がないかを走りながら検査する新幹線のお医者さんです。新幹線開業に合わせて導入。阪神・淡路大震災の復旧の際には、震災から2か月半後に新大阪-姫路間を走行して、高架橋などに問題がないかを点検しました。 10日に1度ほどしか走行せず、ダイヤも非公開となっていることから、“見ると幸せになれる”とも言われ多くの人に愛されています。その人気の理由について専門家に聞きました。 (鉄道ジャーナリスト 梅原淳さん)「走行は1か月に3回程度。しかもあの色ですよね。ほかの営業用の新幹線の車両と違って黄色。黄色はとにかく幸せのシンボルだったので、見ると幸せになるとか、いいことがあると言われたのが人気の要因だったのだろうなと」 しかし6月13日、そんなドクターイエローが老朽化を理由に2027年をメドに引退することが発表されました。そこで6月14日、靴下や模型など数多くのドクターイエローグッズを取り扱う「駅鉄POP SHOP エキマルシェ新大阪店」で話を聞きました。このお店で一番人気なのはやはりドクターイエローだということです。 (客)「ドクターイエローは息子が最初に好きになった新幹線で。(引退は)ショックです。好きだから」 (客)「ドクターイエローのおもちゃですね、子どもに。もう引退するんだと思って、ちょっと気になって買いました」 (大野直哉店長)「ドクターイエロー目当ての方は多くいらっしゃいますので、ドクターイエローが引退すると、そういったお客さまがもしかしたらちょっと減ってしまうかなという懸念はありますね」 みんなに愛されるドクターイエローの正式名称は「新幹線電気軌道総合試験車」。過去に貴重な内部を取材した映像があります。 つなぎ目部分にはケーブルが張り巡らされ、車両全体に計測機器が積まれています。さらにモニターが設置され、車体に備え付けられたカメラ映像が確認できるということですが…計測した数値はセキュリティの関係で非公開。インフラを支えているため厳重に扱われています。 ドクターイエローの車体中央には“謎の階段”があります。階段をのぼった先には座席が1つ。天井に窓がついていて、外が見えるようになっています。ここは電線から車両に高圧の電気を送るパンタグラフを観測する場所。接触状態に問題がないかなどを目で見て確かめられるようになっていました。 そして心臓部。時速約270kmで走行しながら検測したデータが集まる場所です。 (レールテック技術リーダー 曽根研志郎さん)「レールの状態ですね、ゆがみやねじれなどを収録して、線路に異常がないかを確認しています」 異常があればすぐに指令所へ報告する必要があるため、検測中は絶えずチェック。驚くのはその精度です。 (レールテック技術リーダー 曽根研志郎さん)「ミリ単位で測定しているので、コンマ何ミリとかで差が出てくる」 ほかにも無線や信号などに異常がないかも入念に確認しています。 (鉄道ジャーナリスト 梅原淳さん)「ドクターイエローは、ドクター=お医者さんですから、治療をするというイメージがあるのですけれども、実際には線路の診察という方をイメージしていただきたい。新幹線の安全で安定した運行のために非常に貢献している。まあ要するに縁の下の力持ちというような存在ですね」 日本の技術を詰め込んで走るドクターイエロー。2027年をメドにその歴史に幕が下ろされます。
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