ホンダE-クラッチを採用した新型「CBR650R」が革新的な理由、クラッチ操作不要の世界初MT機構をオーナーで考察
一方、CBR650Rは、車体やエンジンの味付けを、幅広いスキルや体格のライダーでも扱いやすいように設定していることが特徴だ。最高出力70kW(95PS)、最大トルク63N・m(6.4kgf-m)を発揮するエンジンは、低回転域からスムーズな出力やトルクを発生する特性を実現。しかも高回転域まで伸びやかに吹け上がる、直列4気筒らしい回転フィーリングも堪能できる。また、大型バイクとしてはコンパクトな車体により、街乗りから高速道路、ワインディングまで、さまざまなシーンで軽快な走りを楽しめることも魅力だ。
■扱いきれる楽しさが魅力のCBR650R 前述のとおり、実際に筆者も2020年式の初期型に乗っているが、フルカウルモデルとしては前傾姿勢のあまりきつくないポジションにより、長距離を走るツーリングなどでも疲労度が少ない。また、街乗りの細い路地などでは、意外に小まわりも利く。しかも、ワインディングやサーキットのスポーツ走行などでは、心地よいエンジンサウンドや、意のままに操れる高い旋回性能なども味わえる。もちろん、最高出力200PSを超える1000ccのスーパースポーツなどのような「圧倒的な速さ」はない。だが、バイク歴40年以上の筆者でも、ストレスをあまり感じないし、「扱いきれる」パワー感は、自らがマシンを操っている感覚を堪能できて逆に楽しい。
なお、CBR650Rは、2021年の一部改良モデルで、フロントフォークをショーワ製「SFF-BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストン)」に変更。右側フォークに減衰機構とスプリングを装備し、左側フォークにスプリングのみを装備するタイプとなっている。構造のシンプル化による軽量化と、フォークの上下動における摺動(しゅうどう)抵抗の低減を両立することで、高い路面追従性などに貢献する。
■2024年モデルの主な変更点 そんなCBR650Rの2024年新型モデルは、欧州仕様車が2023年11月にイタリア・ミラノで開催された2輪車見本市「EICMA2023(通称:ミラノショー)」で世界初公開。日本では、今回が初披露となる(2024年3月15~17日開催の「第40回 大阪モーターサイクルショー2024」で先行公開)。 主な変更点は、まず、スタイリングを刷新したこと。デュアルLEDヘッドライトやカウリングなどのデザインを変更し、よりスポーティなフォルムに生まれ変わっている。筆者もショー会場で現車を見たが、とくに後方先端が尖った形状となったリアカウルは、かなり好印象だった。よりシャープなイメージをリアビューに加味し、さらにスーパースポーツ風のスタイルを演出している。個人的には、初期型である愛車のリアカウルやテールランプの形状は、ややもっさりした印象があり、ちょっと不満もある。新型のほうが断然かっこいい。可能なら自分の愛車にも装着したいほどだ。