アルツハイマー病新薬「ドナネマブ」販売承認 課題は「早期発見」
厚生労働省はアメリカのイーライリリーが開発したアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」(商品名ケサンラ)の製造販売を国内で正式に承認した。 【画像】アルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」(商品名ケサンラ)のパッケージを見る
国内2例目のアルツハイマー病治療薬
2023年9月にエーザイとバイオジェンが開発した「レカネマブ」(商品名レケンビ)の薬事承認に続き、国内で2例目のアルツハイマー病に対する治療薬への承認事例になる。「ドナネマブ」は、アルツハイマー病の原因とされる、脳に溜まる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を、人工的に作った抗体に結合させ、除去することで、病気の進行を遅らせる効果が期待されている。
ドナネマブのメカニズムと対象患者
ドナネマブは、脳内にたまるアミロイドβという異常なたんぱく質に人工抗体が結合し、その除去を促進する。これにより、神経細胞のダメージを防ぎ、認知機能の低下を遅らせることができるとされる。この治療薬は、軽度の認知症や軽度認知障害(MCI)の段階での患者を主な投与対象とし、投与期間は最大1年半。早期発見・早期治療による効果が期待される点が特に注目されている。
課題と今後の展望
「ドナネマブ」の承認により、アルツハイマー病治療の選択肢が広がる一方で、今後の保険適用や薬価決定が重要な課題となる。さらに、早期診断が重要になるため、医療機関での認知症スクリーニング体制の整備も急務だ。治療が適切なタイミングで開始されることで、患者のQOL(生活の質)向上に大きく寄与することが期待される。 構成・文/介護ポストセブン編集部