民主党牙城のシリコンバレー 相次ぐトランプ氏支持で“分断”
アメリカ大統領選挙を争う共和党のトランプ前大統領と、民主党のハリス副大統領。その支持率は拮抗しています。こうした中、注目されているのが巨大テック企業やスタートアップが集まるシリコンバレーです。移民がグーグルやエヌビディアなど巨大テック企業を生み出したことなどからも、移民に寛容な民主党寄りの地域です。ただ、今トランプ氏を支持する起業家や投資家が急増しているといいます。 トランプ氏は先週、政府支出を監視する委員会を設置する案を明らかにしました。自身への支持を表明した「テスラ」のイーロン・マスクCEOをトップに起用する構想です。 マスク氏以外にも、およそ5兆円を運用するベンチャーキャピタルを率いるベン・ホロウィッツ氏とマーク・アンドリーセン氏がAIへの規制やスタートアップの税制を巡ってバイデン政権を批判し、トランプ氏への支持を公言。今、そうした投資家や起業家が相次いでいます。 一方、民主党候補のハリス氏を支持する投資家などが集結して支援サイト「カマラのためのベンチャーキャピタル」を立ち上げるなど、シリコンバレーの分断が進んでいるのです。
有力な投資家だけではありません。テレビ東京はシリコンバレーの中心地パロアルトで行われたスタートアップによるピッチイベントを取材。経営者たちの支持は様々でした。 「トランプ氏の勝利を望んでいる。彼は中小企業や起業家の味方だ。大統領だったとき、税制などでスタートアップを強く支援してくれた」(トランプ氏支持のスタートアップCEO) 「ハリス氏を支持している。シリコンバレーでトランプ氏を支持しているのはごくわずかな大金持ちだけ。減税の恩恵を受けるから、結局は金」(ハリス氏支持のスタートアップCEO) 「経済面だけでなく社会的懸念も同時に考えなくてはいけない」(ハリス氏支持の別のスタートアップCEO) 「2人ともシリコンバレーのイノベーションとビジネスの支援が賢明だと理解してほしい。起業家としては大統領よりも自分たちの技術を進歩させることに集中したい」(投票先を決めていないスタートアップCEO) 20年以上投資家としてシリコンバレーを見てきた「WiL」共同創業者兼CEOの伊佐山元さんは、この分断がシリコンバレーを変えてしまうかもしれないと危機感を抱いています。 「共同投資をいろいろなファームでやっていたのが、『赤組(共和党支持)だから仲間に入れない』となると分断が進む。誰でもシリコンバレーに来て、誰でも金を与えられて自由にリスクを取れて、失敗してもやり直せるのが良さだった。政治的信条が起業家の応援に影響がないエリアであってほしい」(伊佐山さん)