民主党牙城のシリコンバレー 相次ぐトランプ氏支持で“分断”
無視できない巨額マネー
シリコンバレーでは10億ドル(約1400億円)以上の企業価値を付けるスタートアップのおよそ半数が移民によって起業されたとも言われます。このためシリコンバレーは伝統的に移民に寛容で、民主党支持が多いリベラルな地域です。しかし状況は変わりつつあります。 バイデン政権による巨大テック企業への規制の動きや、ハリス副大統領が掲げる富裕層の株式投資への課税強化に反発する投資家や起業家などがトランプ支持に回っています。現在トランプ氏を支持しているのはイーロン・マスク氏を筆頭に、オンライン決済「ペイパル」の元幹部で投資家のデービッド・サックス氏などです。 一方でハリス氏を支持するのは、日本円で10億円近い資金を寄付したネットフリックスの共同創業者リード・ヘイスティングス氏や、世界で登録者10億人以上を誇るビジネスSNS「リンクトイン」の共同創業者リード・ホフマン氏などです。グーグル、アップルなど巨大ITの経営トップは今のところ誰を支持するか明確にはしていません。 カリフォルニア州での民主党の勝利は確実視されていますが、日本円で数十億円単位の政治資金を簡単に動かすシリコンバレーの力を両候補は決して無視できません。 大物投資家のデービッド・サックス氏らがサンフランシスコで開いたトランプ氏のためのディナーのチケットは2人分で50万ドル(約7000万円)とされ、合計で1200万ドル(約17億円)以上が集まったとみられます。両候補に集まるこうしたマネーの規模は数万円単位で資金を集める日本の政治家のパーティーとはレベルが全く異なります。シリコンバレーの巨額のマネーを巡る両候補の戦いは、選挙終盤まで続きそうです。 ※ワールドビジネスサテライト