【バスケ天皇杯】勝敗を分けたエースの差…横浜BC河村勇輝が繰り返した敗戦理由「一発勝負で力を出し切れず本当に情けない」
青木HCが分析する敗戦理由「自信を持ってシュートを打ち切るメンタルが必要」
河村はこのように話すが、敗戦理由は当然彼だけにあるものではない。青木勇人ヘッドコーチはまず、ビッグマンのペイントエリア内でのフィニッシュ力について言及した。 「ニュービル選手と比江島選手のスコアを止めるというよりは、彼らを起点とするプレーを自由にやらせないことにフォーカスし、彼ら以外の得点はだいぶ削れたと思います。(同じように試合前に想定していた)スイッチディフェンスで生まれたミスマッチをビッグマンが突くというプレーもできていたのですが、そこがシューティングパーセントにつながらなかったことが結果を左右したと思います」 ウイング陣のシュート決定率も勝敗に大きく影響した。20点近くリードされた第4クォーター。ポイントガードの河村と森井健太を同時にコートに送り出し、河村を得点に専念させた理由について問われると、青木ヘッドコーチは「ウイングの得点で勝負することが理想ではありますが、今日は確率が上がらなかったので」と回答。「(ウイング陣が)打てるところでドリブルして、自らタフな状況に持って行っているシーンがありました。自信を持って打ち切るメンタルが必要だと思います」 また、優れたコントロール力とディフェンスを持っていながらシュートに課題がある森井については「ノンシューター(シュートを打たない選手)とみなされて、かなり遠い場所にいる選手にヘルプに行かれることが多い」と現状を説明した後「ノンシューターというのは周りが思ってるだけで、僕はしっかりシュートを打てる人間だと思って試合に出していますし、もっと打ってほしいです」と続けた。 試合後、河村はセミファイナル進出を決めた宇都宮の写真撮影の様子を見つめていた。理由を問われると以下のように説明した。 「一発勝負の戦いは実力だけではなく、その日のヒーローなどで結果が変わってくる大会でもあると思っています。チーム、ポイントガードとしてそういったヒーローを作り出すことができず、自分もそれになれなかった悔しさがありました。ブレックスさんは本当に素晴らしいチームだったと思います。次に進んでいく常勝チームをしっかりと目に焼きつけて、次は自分たちがああいった場に立つんだと心に刻んでいました」 B1得点ランキングのトップをひた走る孤高のエースは、天井知らずの成長を見せている。しかしバスケットボールは1人のスターで勝てるスポーツではない。12勝16敗。中地区6位。チャンピオンシップ進出の道はまだ閉ざされていない。横浜BCがここから意地を見せるためには、河村以外の選手たちのさらなる覚悟が必要だ。
青木美帆