日銀買い入れオペ、1年超3年以下が札割れ-異次元緩和以降で初
(ブルームバーグ): 日本銀行が23日に実施した定例の国債買い入れで、残存期間1年超3年以下について応札額が予定額に届かない「札割れ」となった。札割れは2013年の異次元緩和導入以降で初めて。
日銀オペ結果によると、残存期間1年超3年以下では予定額3750億円に対し応札額は3564億円となり、全額を落札した。一方、3年超5年以下は予定額4250億円に対して9844億円、5年超10年以下は4250億円に対して1兆31億円の応札があった。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は1年超3年以下の札割れについて、「不安定化して利回り上昇が大きい長いゾーンを売り、短いゾーンへの需要が強まったのではないか」と指摘。「1年超3年以下はもっと少なく買い入れても良いということが示されたので、次回オペでは減額されるのではないか」との見方を示した。
日銀は3月の利上げ実施後も月6兆円程度の国債買い入れを継続している。13日のオペで5年超10年以下の買い入れ額を減額したことをきっかけに全年限の金利が上昇、金融政策運営の難しさを示した。23日のオペでは中期ゾーンの減額観測が出る中で全年限を据え置いた。1年超3年以下が札割れとなったことで、需給逼迫(ひっぱく)を和らげるために同ゾーンの買い入れを減らす理由ができた格好だ。
日銀が9日に公表した4月の金融政策決定会合の「主な意見」では、「国債買い入れの減額も市場動向や国債需給をみながら機を捉えて進めていくことが大切」といった意見が出ていた。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、札割れは年限の短い債券の保有ニーズが高まっていることを示すと指摘。日銀は買い入れ減額を通じて「長めの国債にはじわりとした上昇を容認するが、短期金利は早く上げていかないという見方を取っているということだろう」と述べた。
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--取材協力:Masaki Kondo.
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Hidenori Yamanaka