熱海の帰還2割、復興へ課題山積 土石流の警戒解除1年
2021年に28人が犠牲になった静岡県熱海市の大規模土石流で、二次災害の危険から原則立ち入り禁止とされた同市伊豆山地区の警戒区域指定の解除から1日で1年。市は復興事業を進めるが、防災などに向けた工事の遅れ、ライフラインの復旧、防犯対策と、日常を取り戻すまでの課題が山積する。避難対象132世帯227人のうち、先月20日時点で帰還したのは2割ほどの25世帯52人にとどまる。 「帰りたいが工事現場の中で住みたくない」。現在も28世帯54人が避難生活を続け、79世帯121人は仮住まいを含め別の場所で生活を再建。長引く工事で帰還に二の足を踏む被災者もいる。 市などは土石流が下った川の中流域の拡幅や、市道本線の道路整備を進めるが、完了目標は当初から2年先送りの2026年度。さらなる延長も懸念され、帰還者からも「排出ガスや騒音で日常生活に支障が出ている」との声が広がる。 工事のための用地買収は道路が75%、河川が60%ほどと停滞する。土石流で自宅が全壊した50代女性は道路用地になる跡地などを売却しないという。