アルゴリズムとアナリティクスにハマるほどYouTube運営は失敗する理由
「とりあえずやってみよう」の功罪
初めてYouTubeに挑戦する企業や担当者は、具体的な戦略を練る前に、まずは動画を投稿してみることで、手応えを感じたり、何がうまくいくかを実感したいと考えることが多いです。 「やってみなはれ」の精神は個人的に嫌いではなく、四の五の言う前に行動できるパワーは素晴らしいと思いますが、功罪両方あります。 ■ 功(メリット) 「とりあえずやってみる」ことで、動画を作って投稿するプロセスを体験できるのはメリットです。早い段階でチャンネル運営の基本を学び、改善点を発見できることもあります。初めから完璧を目指すより、トライ&エラーを通じて少しずつ改善していくことはSNS運用の基本でもあります。 投稿を重ねれば、動画編集やサムネイル作成、投稿時間などの技術的な側面に慣れ、運営の効率化にもつながります。 ■ 罪(デメリット) 「成果指標」が曖昧なまま、進めてしまう落とし穴があります。評価基準がないと、何をもって成功とするか、が見えてきません。 たとえば、動画をいくつか投稿した後、再生回数が思うように伸びない場合、その理由が何なのかを正確に判断できません。アルゴリズムの影響か、内容がターゲットに合っていないのか、そもそも視聴者のニーズを理解していないのか……問題の原因が特定できず、担当者は途方に暮れることになります。 その反動で、目先の結果だけに一喜一憂してしまい、チャンネル全体の長期的な成長が見失われることにもなります。
逆に「ずっと議論ばかりでアクションしない」ケース
もう一つよくあるのは、計画や議論ばかりに時間を費やし、なかなかアクションに移せないケースです。
「もっとデータを集めてから」「もう少し市場調査をしてから」「競合の動きを見てから」「ベストなタイミングを見極めてから」といった考えが優先され、堂々巡りの議論をする……B2B企業や大企業に多く見られるパターンです。これはこれで厄介です。
慎重な姿勢を否定するつもりはないですが、YouTubeのような動きの早いプラットフォームでは、素早く試して、失敗しながら学ぶ姿勢が大事です。 というのも、どんなに緻密に計画を磨き上げたとしても、やってみて初めてわかることがほとんど。失敗を恐れて行動に移さないままでいると、せっかくの成長機会を逃してしまいます。 「まずは小さく始めて、そこから学んで改善する」という合意を形成をしましょう。初期段階では大きな予算を投じず、小規模なテスト運用を始めてみる。そこから得られたデータを基に、徐々に改善しながら運用を拡大していくことで、リスクを抑えながらもアクションを継続できます。