「Bling-Bang-Bang-Born」の世界的ヒットは従来と“真逆” Billboard JAPAN運営の分析
Creepy Nuts「BBBB」の世界的ヒットは、従来の事例とは“真逆”
そんな2024年のヒットチャートの中で、特に異彩を放っていたのがCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」である。 「Bling-Bang-Bang-Born」は、「#BBBBダンス」と題したTikTokやYouTubeショートなどでのダンスチャレンジ(踊ってみた)がきっかけとなり、国内外でバイラルヒットを記録。 海外での日本楽曲の人気を計るグローバルチャート「Global Japan Songs Excl. Japan」でも24度首位を獲得しており、年間1位の座をも勝ち取った。 「『Bling-Bang-Bang-Born』は、配信リリースの約2ヶ月後に公式MVが公開されています。同月にはCreepy Nutsが本楽曲で『THE FIRST TAKE』に出演していました」 「1月と3月、2回のピークをつくれたのがロングヒットに繋がった要因なのかなと」(渕井実香) 「『Bling-Bang-Bang-Born』の場合、アメリカでのヒットが先にあり、それを受けて日本でのヒットが続いています」 「YOASOBIの『アイドル』やAdoさんの『唱』のように、日本で先行してヒットしていた楽曲が海外にも波及していくという、これまでの世界的ヒットの流れとは全く真逆の形です」 「つまり、日本のヒット観と海外のヒット観は、割とシンクロするようになってきた。グローバルな音楽シーンとの距離感が近い楽曲が増えてきた、ということを示しています」(礒﨑誠二)
「アメリカと比べると、日本で音楽はあまり聴かれていない」だからこそ
アーティストたちの活躍の裏で、官民連携で日本のコンテンツの「海外進出」に向けた準備が進められたのも、注目したいトピックスである。 少子高齢化による人口減少、それによる日本経済の悪化が予測される昨今、ビジネス的な観点からも「海外進出」はひとつの希望だ。 政府は「日本のコンテンツ産業を基幹産業に位置付け、戦略的に取り組む」と表明。内閣府・経済産業省・文化庁を中心に、海外展開や人材発掘・育成の支援、労働環境の整備といった産業振興策が試みられている。 また10月には、文化庁や経済産業省(※調整中)協力のもと、日本の音楽業界の主要5団体が連携し、“日本版グラミー賞”とも呼べる「MUSIC AWARDS JAPAN」を新設することが発表された。 こういった官民連携の音楽業界の動きに対しては、Billboard JAPANも参画。チャートデータの提供やKPI(重要達成度指標)の提言、グローバル展開に向けたコンサルティングなどの形で協力しているという。 「日本の音楽産業の市場規模は世界2位とされていますが、1位のアメリカが170億ドル(約2.2兆円)なのに対し、日本は3300億円と大きな差があるんです」 「もちろん、音楽配信サービスの再生単価や顧客単価の違いなどの影響もありますが、アメリカと日本は人口比で考えると3:1なのに対して、音楽の売上は7:1になってしまっている」 「つまり、アメリカに比べると、日本で音楽はあまり聴かれていない、と言えてしまうと思うんです」 「だからこそ日本の音楽は、国内でもまだまだ売る余地がある。同時に、それが難しいのであれば、海外展開を目指す動きがどんどん加速していってもいい、と考えています」(礒﨑誠二)