主基斎田跡で豊作祝う 明治神宮崇敬講が抜き穂祭 鴨川(千葉県)
明治天皇即位時の大嘗祭(だいじょうさい)に奉納されたコメの収穫地、鴨川市北小町の主基(すき)斎田跡で12日、稲を収穫する儀式「抜き穂祭」が行われた。刈り取られた稲穂は、11月23日に東京都渋谷区にある明治神宮で執り行われる新嘗(にいなめ)祭で奉納される。 大嘗祭は、天皇が即位して初めて行う新嘗祭。明治の大嘗祭では、新穀を収穫する「主基斎田」に、当時の北小町村の水田が選ばれた。地域住民は、この名誉を喜びたたえ、村名を主基村に改称したほどだった。 1981年に、主基斎田を護持する「鴨川市明治神宮崇敬講」が発足。毎年、明治神宮の新嘗祭に、同所のコメを使った白酒(しろき)と稲穂を奉納している。 抜き穂祭には、同崇敬講の役員をはじめ、同市、市議会、JA安房、同市観光協会、同市商工会、地区、明治神宮などの関係者約40人が出席した。 同市にある天津神明宮の岡野哲郎宮司を祭主に神事が営まれ、6軒あった地主の中でただ一人、地元に残った末裔(まつえい)の松本恭一さん(77)ら10人が代表となり、今年の実りに感謝を込めながら、稲に鎌を入れた。 鈴木美一講元(73)は「主基斎田を村名にまでした場所は、全国でここだけ。鴨川だけでなく千葉県の大切な財産として、改めて広めていきたい」と話していた。 今後、地元の老舗蔵元「亀田酒造」が、このコメを材料に白酒を醸造。10月には「穂揃(ほぞろい)式」を行う。