埋まるか「食い違い」の溝 きょう兵庫県の百条委で最後の証人尋問
兵庫県の斎藤元彦知事らのパワハラ疑惑などを内部告発した文書の真偽を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)は25日午後、斎藤知事と片山安孝前副知事に対し、3回目となる証人尋問をする。これまでの尋問で、斎藤知事と元県幹部らの証言に「食い違い」が生じているため、事実関係を確認し、公益通報者保護の観点から斎藤知事らの対応が適切だったかを精査するのが狙いだ。 【年表】兵庫県の内部告発文書問題のこれまで 「食い違い」の一つが、匿名で告発した元西播磨県民局長に対する内部調査をめぐる3月27日のやりとりだ。斎藤知事の側近だった前理事は、告発文書を第三者で調査することを斎藤知事に進言した際、「ちょっと渋い顔をされて『どうかな』と。受け入れられなかった」と述べた。これに対して斎藤知事は「記憶はない」と証言している。 ほかにも、ある県職員が「前総務部長から公益通報の調査より先に処分できないか検討するように指示された」と証言した。その前総務部長は「知事から『風向きを変えたい』と意見があった」と述べた。しかし斎藤知事は「私は言っていない」と説明している。 百条委は地方自治法100条に基づいて設置された。証言拒否や虚偽の陳述をした場合には罰則があり、強い調査権限を持つ。 元県民局長による告発文書では、知事による職員へのパワハラ▽知事による企業からのコーヒーメーカーなどの贈答品受け取り▽昨秋のプロ野球優勝パレードの協賛金集めで金融機関に補助金をキックバックさせた――など七つの「疑惑」が指摘されている。県議会は6月、強い調査権限を持つ百条委を設置して告発文書の真偽や斎藤知事らの対応について調査を進めてきた。 百条委は今回の尋問を経て、調査報告書の試案づくりを始める。来年1月中旬以降に示して協議し、県議会2月定例会に報告書を提出する予定という。
朝日新聞社