鄭義信×大鶴佐助インタビュー 大衆演劇の一座を描く劇団「ヒトハダ」第2回公演が間もなく開幕!
この一座から明るい“希望”みたいなものを感じてもらえたら
――今回大鶴さんは、二見劇団の座付き作家・冬生を演じられます。皆さん当て書きとのことですが、大鶴さんのどんなところが冬生に反映されているのでしょうか? 鄭 うーん、佐助の変わったところかな(笑)。 大鶴 えっ、どういうことですか?(笑) 鄭 うまく口では言えないけど、佐助にはなんかちょっとヌメッとしたところがあるんですよね。逆にヒロなんかはサバっとしている。静と動っていうか……。 大鶴 あぁ、確かにヒロくんはカラッとしていますよね。なんか前回とはまた違いますけど、この一座、家族の中でのバランスとかが、それぞれすごく役に合っているなと思って。ただサクさんが登場した瞬間、あれ? 前回と同じ役の人出て来た?と思いましたけど(笑)。サクさんだけ既視感がすごい(笑)。 鄭 (笑)。 ――(笑)。今回は劇団員の5人に加え、演出助手の山村涼子さん、舞台監督の丸山英彦さんも役者として出演されます。 鄭 書いているうちに膨らみ過ぎて、人が足りなくなっちゃったんです(笑)。で、どうする?ってみんなで協議して、今回までは客演を呼ばず、内々の人だけでやろうということになって。 大鶴 鄭さんって本当にその人に寄り添った、個を引き出す演出をされるんですが、それは涼子さんなんかにも感じる部分で。まさに劇団じゃないと出来ない演出だなと思います。 ――改めてこの作品を通して、お客様にはどんなことを伝えられたらと思いますか? 鄭 これだけ世界が“戦争”という色に染められてきている中で、もう一度“戦争”というものを考えてもらえればいいなと思います。と同時に、その中でも明るく生きていく家族の姿から、明るい“希望”みたいなものも感じてもらいたいです。 大鶴 あの当時も毎日を一生懸命生きていた人たちがいて、今もそういう人たちがいるわけですよね。これを見たお客様がどんなふうに捉えられるかはわかりませんが、とにかく見ていただくしかないのかなと思います。 ――ヒトハダの今後の展望は? 鄭 特に方向性みたいなものは決めていなくて、手探りでいろいろやっていけたらいいのかなと思っています。まぁそこは座長に今後の道を示していただいて(笑)。 大鶴 野外劇がやりたいです! やっぱり劇団としての、鄭さんのどアングラ野外劇がやりたいなと。 鄭 それはサクさんの尻を叩かないとね。すぐ「走れません」とか言うから(笑)。 大鶴 この際、土に埋めちゃったりして(笑)。 鄭 ずっと土に埋めとくか(笑)。 取材・文:野上瑠美子 撮影:藤田亜弓 <公演情報> ヒトハダ 第2回公演『旅芸人の記録』 脚本・演出:鄭義信 出演:大鶴佐助、浅野雅博、尾上寛之、櫻井章喜、梅沢昌代 山村涼子、丸山英彦 【東京公演】 2024年9月5日(木)~9月22日(日) 会場:下北沢ザ・スズナリ 【大阪公演】 2024年9月26日(木)~9月29日(日) 会場:扇町ミュージアムキューブCUBE01