「一刻も早く助け出す…」大震災を乗り越えろ!被災者救うアプリも
今回のテーマは、「大震災を乗り越えろ!~あの主人公はその時~」。 能登半島地震から1カ月半。かつて番組が取材した人たちは大地震にどう立ち向かおうとしているのか。 本社機能の一部を石川・珠洲市に移した東証プライム上場の医薬品会社アステナホールディングスの岩城慶太郎社長は、行政に先駆けて被災者を安全な場所に避難させる作戦に乗り出していた。一方、働きがいを求めて石川・加賀市に移住した元「ソニー」のエンジニア・山内智史さんは、得意のIT技術を活用して、被災者を円滑に受け入れるためのアプリをスピード開発。デジタルの力で支援の輪を広げようとしていた。 被災者の支援に奔走する主人公たちの姿を、カメラが追った。 【動画】能登半島地震から1カ月半…かつてガイアが取材した主人公たちの今
珠洲に恩返しを! 移住した医薬品会社社長の決断
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川・珠洲市。番組は3年前、珠洲市の人や自然に魅了されたアステナホールディングス社長、岩城慶太郎さんを取材していた。 岩城さんは本社機能の一部を東京から珠洲市に移し、社員6人とともに移住。珠洲の特産品を作ろうと育てていたのが、漢方薬に使われる貴重な「霊芝」というキノコだ。 さらに岩城さんは、高齢化と過疎化が進む珠洲で、山奥のお寺と街中の病院をつなぎ、オンラインで診察できる実験も始めていた。 1月4日、東京・新宿区。年末から東京に居て無事だった岩城さんは、珠洲の人たちに水や食料を届けようと奔走していた。 「陸路がダメで、珠洲市に物が入らない。自治体も被災しているので、現地にいるとできないことを私がやる」。 この時、珠洲市に通じる主な道路は寸断され、通信障害も発生し、被害の全容がつかめない状況だった。
1月8日。番組の取材班は珠洲市を目指すが、いたるところで通行止め。通常、金沢から珠洲まで2時間半ほどのところ、この日は7時間もかかった。街に入ると、倒壊した家屋があちこちに…。 100年以上の歴史を誇る「櫻田酒造」は、3年前に取材した際、岩城さんと組んで梅酒を使った新商品の開発に乗り出していた酒蔵だ。その「櫻田酒造」を訪ねると、屋根が崩れ落ち、酒蔵は壊滅的な被害を受けていた。 1月7日、東京・日本橋。岩城さんの会社に、能登にゆかりのある20人以上のボランティアが集まっていた。岩城さんは当初、水や食糧を送る活動をしていたが、方針を切り替え、被災地から人々を避難させる活動を行っていた。 岩城さんが被災者の避難を急ぐのには理由があった。実は8年前の熊本地震では、地震による直接の死者は50人だったが、ケガや病気の悪化などによる災害関連死は、その4倍以上のぼっていた。 岩城さんは、「避難所も衛生問題が発生する。(被災者を)一回疎開させることが人の命を救うことにつながる」。奥能登の冬の厳しさを知る岩城さんだからこそ、そのリスクを懸念していた。