【既に受注の7割を占める人気車】 11代目爽快シビックに復活したRSはニア・タイプR!
街角でもしっかりRSの本質が味わえる
今回の試乗では、『RS』と『EX』のガソリン車の比較となった。 RSと聞くとスパルタンなクルマを連想するが、シビックならば、そんな緊張感とは無縁だ。クラッチペダルが軽いため、誰でも乗りやすく、ストップ&ゴーも容易だが、何よりも素晴らしい点は、街角でもしっかりRSの本質が味わえることだ。 シフトダウン時はレブマチックがエンジン回転数を合わせてくれるので、スムーズなギアチェンジが行え、減速Gの発生も穏やか。エンジンの軽快さとあいまって、シフトアップでも回転落ちが素早くなったことで、スムーズな加速動作に繋がっている。悪戯心でギア飛ばしの横着シフトをしても、しっかりと応えてくれた。 シフトとペダルの操作でクルマの動きは作りやすいのに、誰が運転してもギクシャクした走りになりにくい。家族でMT車を共有する人には、待ちに待った仕様だろう。またエンジンの制御とレスポンスが変わったことで、従来型MTで感じた低回転時のトルクの薄さも消えていた。ただし、スポーツモードではよりアクセルレスポンスが良くなるが、劇的な違いはないため、これが標準仕様でも良いと感じた。
爽快な走りの味をより強く感じさせるEX
やや硬質となったフットワークは、軽快な動きとドライバーとの一体感を高めてくれる。聞けば、RSのサスペンションには、専用チューンとなるメカニカルダンパーを除いて、タイプRのパーツが多く流用されているという。つまりこれは、気軽に乗れる『ニア・タイプR』なのだ。 ただ、静粛性を重視した結果、エンジンサウンドが車内では小さめに感じたのと、シートも全車共通なので、もう少しRSはホールド性があってもいいように思えた。いずれも欲を言えばというレベルだが、今後、特別仕様車やパッケージオプションで、よりスポーツカーらしい演出や機能を高めたものがでてくることを期待したい。 よりオールマイティな存在となるガソリンターボのCVT車『EX』にも乗ったが、こちらは刺激こそ薄めだが、現行型が掲げた爽快な走りの味をより強く感じた。しっかりと路面の変化を感じさせながらも、不快な衝撃とは無縁で、腰のあるシートが体を優しく包んでくれる感覚だ。 そして1.5Lターボエンジンも、自然吸気のような滑らかな振る舞いを見せてくれた。クルマと過ごす時間が好きな人には、むしろこちらの方がおススメできる。まさに爽快シビックを象徴するモデルといえよう。
大音安弘(執筆) 佐藤亮太(撮影) 平井大介(編集)