「ビニール傘」なのに…上品コーデしたくなる エリザベス女王が愛したフルトン
連載《ロイヤルワラント図鑑》Vol.10
亡きエリザベス女王を象徴する装いといえば、コートやワンピース、帽子などをカラフルなビビッドカラーやパステルトーンの単色でまとめた「ワンカラースタイル」。天候が変わりやすい英国で、公務の日があいにくの雨や雪だったとしても、そのアイコニックな装いを完成させるのに一役買うのが「フルトン」の傘だ。歴史ある高級傘メーカーが数多く存在する英国で唯一、ロイヤルワラントを保持しているレイングッズメーカー。ブランドの代名詞であり、女王が雨の日に愛用した名品傘「バードケージ」の魅力を、女王のパーフェクトなスタイリングとともに紹介しよう。 【写真はこちら】エリザベス女王の「バードケージ」スタイル4選、コーデがホントにすてき! 日本で手に入るラインアップは…
■人々に配慮 雨の日のトレードマークに
まるで宝石のような色鮮やかなワンカラースタイルがトレードマークの亡きエリザベス女王。公務で外出する際に女王がカラフルなファッションを選んだのは、目立つ色が好みだからではない。女王を一目見ようと集まってくれた人たちが、遠目からでも小柄な女王を認識できるようにとの配慮があってのことだった。
■女王のワードローブに合わせ、オーダーメードで
目にするだけで元気をもらえる鮮やかな装いは、雨の日でも健在だ。公務の際に女王が決まって手にするのは、鳥かごに由来する名が付いたフルトンの「バードケージ」。肩までふんわり覆うユニークなドーム型フォルムの透明傘は1967年に発表され、女王のおかげで、いまではフルトンの代名詞になっている。 女王のカラーコーディネート術は、傘のハンドルと縁の色をコートや帽子と統一すること。フルトン社では女王のワードローブに合わせて、おそろいのカラーの傘をオーダーメードで制作していた。厚みがあって丈夫、視認性の高いPVC素材を用いた「ビニール傘」を公務で愛用したのは、雨の日であろうと歓迎してくれる人たちに、女王の顔をしっかり見てもらえるように…との理由だったとか。
■08年にロイヤルワラント授与 翌年に工場視察
ちなみに女王が「バードケージ」モデルを愛用するようになったのは、母親の初代エリザベス女王(クイーン・マザー)が同モデルに魅了されていたのがきっかけ。ウィリアム皇太子やキャサリン皇太子妃をはじめ、英国王室メンバーたちが手にする姿もたびたびメディアで取り上げられている。 2008年には女王はフルトンにロイヤルワラントを授与。翌09年には自らロンドンのイーストエンドにある工場を視察している(注:22年にエリザベス女王は逝去されたが、事業者側に重大な変更がない限り、ワラントは亡くなられた時期から最長2年間使用することができる)。