老化で精子の遺伝子制御が変化、子の神経発達障害リスクに 東北大
変化したマイクロRNAには、受精卵となっても残るものが含まれていた。こうした結果から、父親の加齢による精子のマイクロRNAの変化が、子の成長や発達に影響を与え、特に神経発達障害のリスクとなることを突き止めた。
研究グループの東北大学大学院医学系研究科発生発達神経科学分野の大隅典子教授は、会見で「(ヒトでは)精子の質に関し、不妊治療で精子の数や形態、運動性が調べられてきたが、エピジェネティックな要因が分かった。加齢は次世代の神経発達障害につながるリスクがある。生殖補助医療では、こうしたリスクを減らすことが重要だ」と話した。
成果は英科学誌「サイエンティフィックリポーツ」に日本時間7日掲載された。
大隅教授はさらに、精子を卵子に直接注入する授精技術「卵細胞質内精子注入法(ICSI、イクシー)」を使ったマウスの子に行動異常がみられたり、子は正常にみえても孫以降の世代に形態の先天異常が起きたりしたなどとする、京都大学などの研究グループの成果を紹介。生殖補助医療をめぐり「従来考えられていたよりも、リスクが次世代以降に伝わっているかもしれない。インビトロに(体外に)取り出したり、ましてやICSIで針を刺したりする方法でないことが、次世代の健康のために重要と考える」と提起した。