これぞ究極仕上げのS30フェアレディZ! ダッシュの前を横断するロールケージ! 強じんなフレームと徹底した軽量化の1台
魂が込められたクルマとは、まさにこのS30Zのことを表している。フェアレディZの魅力に取りつかれた男たちが、理想とするサーキットスペックを目指してハンドメイドで作り込み、その製作期間はなんと6年にもおよんだという。ボディのフルレストアから、エンジンチューニング、足まわり、コックピットのセッティングにいたるまでパーフェクトな作り込み。あくなき情熱が生み出したその雄姿を紹介しよう。 【画像38枚】イグニッションやスターター、電動ファンもスイッチ式に変更することで、コックピットまわりはシンプルに! ルームミラーの上部に工業用スイッチを利用したシフトインジケーターを設置。6500rpmで黄色、7000rpmで赤く光る。ちなみにアクリルガラスは2枚の純正ガラスで挟み込み、じっくりと熱を加えることでノーマルと変わらない曲面に加工したそうだ 【魔性の魅力! チューンドS30Z フェアレディZ + L28型改3.1リットル】 こうして妥協なく仕上げたボディに積み込まれたのは、新たに組み上げた3.1リットル仕様のL28型改ユニットだ。亀有製の鍛造ピストンやH断面コンロッド、LD28型用クランクなどを組み込み、キャブレターはソレックス50PHHを装着。カムは亀有製の77度でトルク重視にチューニングし、扱いやすいフィーリングを目指した。 また足まわりはKONIをベースにショートストローク化。路面への追従性を高めるべくリバンプ側の減衰力を高めにセッティングするなど、積極的にアシを動かす方向で味付けている。もちろん、制動力アップのために、フロントにはブレンボのF50用4ポットキャリパー、リアはFD3S用を組み込んで強化している。 「完成したばかりでステアリングを握るのは2回目。ナラシの最中ですが、低速からのトルク感やレスポンスのよさは十分に体感できます。ハンドルも軽くてノーマルとはまるで別ものですね」と、笑顔で語ってくれたオーナー。 年を重ねると夢中になれることは少なくなってくるもの。しかしS30Zが縁に知り合った二人は、年齢をまったく感じさせない好奇心と気力でレストアに打ち込み、理想の1台へと仕上げていた。二人三脚で作り上げたこのZが、富士スピードウェイでどんな走りをみせてくれるかが楽しみだ。 SPECIFICATIONS 1974年式 フェアレディZ(S30) ■エクステリア:フルレストア、溶接補強、ロールケージ補強、追加補強バー、240ZG仕様+オリジナルフロントスポイラー、FRP製ボンネット/フロントフェンダー/リアゲート、アクリル製ガラス(運転席側スライド式) ■エンジン:L28型改3.1リットル仕様(ボアφ89mm×ストローク83mm、圧縮比12.3)、亀有製φ89mmピストン/77度カム、H断面コンロッド、LD28型用クランク、イスキー製バルブスプリング、1.2mmメタルヘッドガスケット、ポート拡大&研磨、燃焼室修正加工 ■吸排気系:ソレックス50PHH、柿本改製φ48.6mm等長タコ足、φ90mmオリジナルステンレスマフラー(テールφ100mm) ■点火系:亀有製固定進角、永井電子機器製ウルトラプラグコード ■冷却系:アルミ3層汎用ラジエーター改、電動ファン×2、アールズ製34段オイルクーラー ■燃料系:DR30スカイラインターボ用燃料ポンプ+燃料レギュレーター×2 ■駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ、亀有製クロスミッション、ニスモLSD(ファイナル3.9) ■サスペンション:コニー製調整式ダンパー(ショートストローク加工、オイル粘度変更)、スイフト製スプリング、ウレタンブッシュ、(F)バネレート9kg/mm、ピロテンションロッド、ピロロワアーム (R)バネレート7kg/mm ■ブレーキ:(F)F50用ブレンボ4ポットキャリパー+φ315mmフローティングローター (R)FD3S用キャリパー×φ314mmローター、PFC製レース用パッド、APレーシング製可変プロポーショニングバルブ ■タイヤ:ヨコハマ アドバンA050(F)225/45R16 (R)225/45R16 ■ホイール:パナスポーツG7 (F)16×9J -15.6 (R)16×9.5J -21.95 ■インテリア:FRP製ダッシュボード、レカロ製SPGフルバケットシート、サベルト製4点式ハーネス、MOMO製ヴェローチェレーシングステアリング、大森メーター製追加メーター(水温、油温、油圧)、永井電子機器製ウルトラタコメーター、空燃比計、軽量オリジナルヒーターユニット、乾式バッテリー移設 初出:ノスタルジックスピード vol.023 2020年2月号 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部