「プロとして恥ずかしくないのか」帝王・山田裕仁氏が伊東競輪G3決勝レースを酷評
3名が勝ち上がった関東勢は、吉田選手が先頭。初日特選は5着に終わりましたが、その後は1着、3着で勝ち上がり、決勝戦に駒を進めてきました。関東が誇る若きタイトルホルダーであり、ここでは格上といえる存在。デキも上々のようなので、いいレースを期待したいものです。番手を回るのは雨谷一樹選手(96期=栃木・34歳)で、ライン3番手を神山拓弥選手(91期=栃木・37歳)が固めます。 最後に、川口聖二選手(103期=岐阜・30歳)と井上昌己選手(86期=長崎・44歳)の即席コンビ。ここは関東勢と同様に、「主導権を奪っての二段駆け」がいかにもありそうな、南関東勢の目論見通りにさせないことが求められます。車番には恵まれませんでしたが、井上選手が川口選手の後ろについたことで、選択肢は増えたはず。調子もよさそうですから、南関東をかき乱しにいってほしいですね。
南関東勢の前受け、関東勢は中団5番手に
それではここから、決勝戦のレース回顧に入っていきます。レース開始を告げ号砲が鳴って、飛び出していったのが5番車の雨谷選手と1番車の岡村選手。いったんは雨谷選手のほうが前に出ましたが、引いて岡村選手を前に出しましたね。もしかすると、南関東勢に前を「取らせる」作戦だったのかもしれません。これで南関東勢の前受けが決まり、関東勢は中団5番手に。川口選手が先頭の混成ラインは、後方8番手からです。 後方の川口選手が動いたのは、青板(残り3周)の手前から。外からゆっくりとポジションを押し上げて、先頭の道場選手を抑えにいきます。突っ張り先行を考えている道場選手は、先頭誘導員との車間をきった状態で、川口選手の様子をうかがいつつ先頭をキープ。そして、青板周回のバックで先頭誘導員が離れると、一気に前へと踏み込んで前を主張。これをみた川口選手は、大きく外を回って、再び後方の位置に戻っていきます。
初手と同じ並びに戻って、赤板(残り2周)前の2センターを通過。先頭の道場選手は、何度も後ろを振り返って、他の動きを確認しています。中団の吉田選手や後方の川口選手が、緩んだところでカマシにきてもおかしくない状況ですからね。しかし、どちらもここで動いてくるような気配はなし。一列棒状で赤板を通過して、じつにあっさりと主導権奪取に成功した道場選手が、全力モードに移行します。 そのままの隊列で1センターを回って、打鐘前のバックストレッチに進入。先頭で飛ばす道場選手がかかっているのもあるのか、中団の吉田選手や後方の川口選手に動きはありません。そしてレースは打鐘を迎えますが、ここでも動きはなく、相変わらずの一列棒状で最終ホームに。そして最終1センターを回りますが、先頭で飛ばす道場選手は、このあたりでさすがに苦しくなってきました。 最終2コーナーを回ってバックストレッチに入ったところで、中団の吉田選手がついに捲り始動。しかし、それとほぼ同じタイミングで、南関東ライン番手の岩本選手が前へと踏んで、道場選手の番手から発進します。仕掛けを完全に合わされた吉田選手は、これでかなり苦しくなりましたね。萩原選手の外に並び、そこからもジリジリと前との差を詰めていきますが、一気に前を捲りきるような勢いはありません。 吉田選手の番手にいた雨谷選手は、加速についていけず、連係を外して下がっていってしまいます。その後ろにいた神山選手は切り替えて前を追いますが、展開を考えると時すでに遅し。その後ろにいる川口選手と井上選手も、伊東の333mバンクでこの位置からでは届きそうにありません。番手捲りで先頭に立った岩本選手と、それをマークする岡村選手に、中団から捲った吉田選手。ここまでが、勝負圏内でしょう。