【科学的に最も美しい顔?】その根拠は何なのか?黄金比美人より「動物顔美人」って?
人気連載「齋藤薫の美容自身 STAGE2」。今月のテーマは「科学的に最も美しい顔?その根拠は何なのか?黄金比美人より、動物顔美人!?」。
目と目の間が4センチって、だからどうした!?
「人中が短い?」「中顔面が6.5センチ?」一体何のこと? と思った人も「目と目の間が4センチ」「顔の大きさが17センチ」とくれば、さすがに何の話かわかったのだろう。そしてすかさず、定規を持ち出して、自分の顔の大きさを測ったかもしれない。え、ワタシ、19センチもあるけどっ!と戦慄したかもしれない。 知っている人も少なくないと思うが、先ごろ大炎上した“ダヴの広告”で、デカデカと掲げられたキャッチの数々である。それは美人顔の定義や基準値。そこにマーカーでバツが書かれ、「#カワイイに正解なんてない」というメインコピーも。 確かに“美人の黄金比”と呼ばれる基準は昔からあって、額から目、目から鼻下、鼻下からあご先……この3つの距離が均等であるべきとか、目の幅と、目と目の間の距離が同じであるべきとか、それはもう事細かに比率が決められている。 さらに言うなら、日本人は“黄金比”より“白銀比”と呼ばれる、もう少し横長の顔のほうが好みであると言われたりもする。それこそ余計なことを、と思うかもしれないが、結論からいって、こうした黄金比的な正解を示す顔は、整ってはいるが、何ともつまらない顔になるという見方が主流で、今やこの黄金比の話はめったに聞かれなくなっている。 つまりこうした“顔の正解”にまつわる話は、すでに一度終わっている話題で、測り方を変えても、結局は「だからどうした」という話に終わる。所詮、正解美人顔は“つまらない顔”なのだから。
科学的にもっとも美しい顔は、ディオールの顔、アニャだった!
そういう意味で興味をそそられたのが、ロンドンの有名な美容外科が割り出したという「科学的に美しい顔」。これまた“科学的に”って、「なんじゃソレ?」とも思ったが、その第1位が、アニャ・テイラー=ジョイであるという記事を見て、面白いじゃないか!と。この種の“美しい顔”の話で初めて心を動かされたのだ。 言うまでもなく、アニャは今やクリスチャン・ディオールの顔。Netflixの『クイーンズ・ギャンビット』で注目を浴び、ゴールデングローブ賞の主演女優賞も獲得した実力派にして、個性が半端ではないキュート顔。ただの美人女優じゃなく、どちらかといえばファニーフェイスのアニャに白羽の矢を立てたのは、さすがディオールと感心したけれど、その顔を科学的にもっとも美しいとした“科学”にも、何だか敬意を表したくなった。 しかもその基準は、古代ギリシャの黄金比に基づく調査というのだから、もはや正しいとか正しくないという概念を超えている。なぜ古代ギリシャか、それ自体が、何やら神秘的にしてアカデミック。もともと、1:1.618……という普遍的な黄金比を編み出したのは古代ギリシャ。それこそ、巻き貝や花びらのつき方にまで共通する鳥肌モノの比率を見出して、それをパルテノン神殿などの建築にも応用した正真正銘の黄金比、これを考えたのはギリシャ時代の数学者とされるから、あながち眉唾な話ではなさそうだ。 撮影/戸田嘉昭 スタイリング/細田宏美 構成/寺田奈巳 Edited by 加茂 日咲子
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