野村證券より凶悪「富士銀行顧客殺し事件」を覚えてますか…相次ぐ不祥事は「巨艦・野村沈没」の予兆なのか
相次ぐ野村證券の不祥事
今年7月、広島市に住む80代夫婦に睡眠薬を飲ませ、住宅を放火、現金約2600万円を奪ったとして、大手証券会社・野村證券の営業職だった梶原優星容疑者(29)が強盗殺人未遂と放火の疑いで、10月30日に逮捕された。 【マンガ】「人身事故」で亡くなったご遺体の火葬…棺に納められていた「衝撃の中身」 警察によれば、当時、梶原容疑者は顧客として夫婦を担当。事件当日の7月28日、夫婦の自宅で飲食の約束をしており、そこで薬物を飲ませ、火をつけたと見られている。 その後の調べで、梶原容疑者は個人的に、為替相場の変動を予想する金融商品「バイナリーオプション」への投資を行っており、業務外で複数の顧客から現金を奪い、投資資金に充てていたという。 野村證券元社員による今回の事件。世間では、一軒家に住む高齢者を狙った「闇バイト」による連続強盗事件と似たような内容だけに、大きな注目を集めた。また、野村證券本体でも、容疑者逮捕の当日、相場操縦の疑いで金融庁から課徴金納付命令を受けている。 相次ぐ野村證券の不祥事を受けて、同社を傘下に持つ野村HDは「信頼回復に努めたい」と謝罪するが、投資家たちの間ではこんな噂が立ち始めている。 「これはあの《顧客殺し》を起こした富士銀行の時と同じだ。野村證券もこのままでは、富士銀行と同じく消える運命にあるのでは……」 投資家が言う《顧客殺し》、それは26年前に起きた凶悪事件「富士銀行行員顧客殺人事件」を指す。
顧客夫婦の信頼を裏切って…
あらためて「富士銀行行員顧客殺人事件」を振り返ろう。 1998年7月。大手都銀6行の一つ、富士銀行(現みずほ銀行の前身のひとつ)の若手行員が顧客をダマして預金を使い込み、不正がバレて告発されそうになると、顧客を夫婦ともども殺害した。まさに、カネのために顧客殺しをしてしまったのだ。 当時31歳だった容疑者Oは、富士銀行春日部支店に勤め、マッサージ業を営むF夫婦の預金の集金を担当していた。ともに60代だったF夫婦にすれば、田園地帯で銀行が少なかっただけに、自宅までわざわざ来てくれるOは、ありがたい存在だったのだろう。 ちなみにOは福岡県出身で、大学時代はラグビー部に所属し、地方大会で活躍するほどのスポーツマン。また「ギャンブルも女遊びもやらない真面目な男だった」と同級生も証言している。 そんなOには、今回の梶原容疑者と似た部分がある。前述の通り、梶原容疑者は顧客の夫婦とは一緒に家で食事をするほど信頼関係を持っていた。Oもまた、郵便物が来ても差出人名を確認するまではドアも開けないほど慎重なF夫婦に取り入り、すぐにドアを開けてもらえるほど信用されていたという。 しかし、その信頼を利用する形で、OはF夫婦に架空の運用話を持ちかける。そして5000万円を超えるカネを預かると、勝手に自分の顧客だった自営業者の融資に流用。いわゆる「浮貸し」を行ったが、融資先が倒産し、焦げ付かせてしまう。 そこからのOの行為はあまりに身勝手で残虐なものだった。