「芸者新道」「かくれんぼ横丁」神楽坂に粋な名前の小道が多いのはなぜ? 探偵気分で街を楽しむ【迷宮・神楽坂散策ガイド】
石畳にいろんなマークが!
袋小路に鉤の手。彷徨わせるために道を引いたかのような石畳の横丁なのだが、この石畳の石の中に、「ハート型の石」「星型の刻まれた石」「ダイヤマークの刻まれた石」という3つの小さな石が隠れ潜んでいるのだった。 ハートを見つければ恋愛運。星型は出世運。ダイヤは金運が上昇するそうですが、いや~これがなかなか見つからない。全部見つけるには、最低でも1時間はかかるかもしれない。しかし、見つけた時は、それこそ快感。アドレナリンが一気に分泌されることを保証します。 運といえば。神楽坂には神社仏閣も多い。 目抜き通りの神楽坂に鎮座する毘沙門天で有名な「善国寺」。創建400年を越えるこの古刹の境内で目を引くのがその狛犬。よく見る狛犬とは明らかに動物の種類が違うのである。 普通の狛犬は犬といっても獅子がモデルですが、善国寺の狛犬は「石寅」と呼ばれ、なんと寅がモチーフ。毘沙門天は寅の年、寅の月、寅の日、寅の刻にこの世にお出ましになったことが由来。必見。 場所は神楽坂とは飯田橋駅を挟んだ反対側ですが、大正天皇が結婚式を挙げられ、一般的な神前結婚式を創始。恋愛成就のご利益があることで知られるのが「東京大神宮」。東京大神宮で、探偵的目線で見つけたいのが、社のそこらかしこに潜む「猪目」と呼ばれる文様。 猪の目を模した日本独自の意匠なのだが、これがハートマークと偶然にも完全一致した形状。恋愛成就の兆候は境内にあふれているのだ!かくれんぼ横丁のハートといい、東京大神宮の猪目といい、神楽坂は、恋の街でもあるかもしれない。 それも当然。神楽坂を走る小道は文字通り幅が狭い。袖すり合うも多少の縁な出会いが多発せざるをえないのだ。すでに知り合いだというふたりも、狭い小道を行くならば、必然的に距離を阻めなければ歩けないのである。 彷徨って、たどり着いた先に待つは恋の成就。ああ、その幸せを祝福する神楽の音色が聞こえてきそうだ。 撮影/浅沼ノア、文/カーツさとう ※2024年11月号発売時点の情報です。 …つづく「神楽坂で愛される珠玉の名店3選」