二軍監督時代は「前時代的」と評されるも、就任1年でリーグ優勝! 巨人・阿部監督の「若手を律する」”凄み”とは?
「笑うアベには福来たる」――2024年のペナントレース、セリーグはなかなか例を見ない三つ巴の優勝争いが繰り広げられ、最後に栄冠を手にしたのは阿部慎之助監督が率いる読売ジャイアンツだった。 阿部監督のマネジメントを見ると、昔ながらの厳しさでチームを率いた阪神タイガースの岡田彰布監督、そして選手に寄り添う新時代の監督像を示した広島東洋カープの新井貴浩監督のいいとこどりをした「アメとムチ」をうまく使い分ける姿勢が目立った。 【後編はこちら】巨人・阿部監督が「管理職のお手本」と言える理由 令和だからこそ輝く、厳しく優しいマネジャー
今回の記事では、そうした阿部監督のマネジメントのうち、主に若手への対応をビジネス視点で見ながら、2年連続でBクラスに沈み苦汁をなめた“球界の盟主”をよみがえらせた手腕を分析する。 ■2軍監督時代に見せた「厳しさ」 阿部監督は、中央大学を経て2001年シーズンから読売ジャイアンツでプレー。球界屈指の「打てる捕手」として、長らくチームの顔だった。その後、2019年シーズンを最後に引退し、翌2020年シーズンから同チームの二軍監督に就任。
2022年には一軍の作戦兼ディフェンスチーフコーチに配置転換し、チームの守りを見てきた。さらに2023年は一軍のヘッドコーチとバッテリーコーチを兼任しつつ、前監督である原辰徳監督の英才教育を受け、満を持して2024年シーズンから監督としてチームを率いることとなった。 今季こそ、優勝という悲願を果たして名監督の1人として称賛される阿部監督だが、二軍監督時代は「前時代的」と評されることもあった。 一部で、冗談めかして「ジャイアンツの正式名称は『巨人軍』、軍隊なんだ」と発言したことが報じられたり、二軍監督に就任した直後、大学生チームに敗れたことで選手に“罰走”を課したりと、さながら鬼軍曹のようなイメージを持っていた人もいるのではないか。
■若手を中心に、チームを律した 実際、今季も当時さながらの厳しい姿勢を見せてチームを引き締めたことは多々あった。 中でも話題を呼んだのは、7月27日の横浜DeNAベイスターズ戦に先発した井上温大への指導だ。同ゲームの3回裏、ピンチで迎えた打者への初球に阿部監督は「雷」を落とした。 緊張感のある場面ながら、気合の入っていない投球をしたことで、即座に杉内俊哉投手コーチをマウンドに向かわせたのだ。ベンチで阿部監督が非常に厳しい表情を見せ、杉内コーチのそでを引っ張ってマウンドへ向かわせるシーンはSNSでも話題となった。