二軍監督時代は「前時代的」と評されるも、就任1年でリーグ優勝! 巨人・阿部監督の「若手を律する」”凄み”とは?
組織に詳しい経営コンサルタントの横山信弘氏は、若手を引き締めるマネジメントのコツとして、次のように話す。 「定期的に、組織としてのルールやマナー、考え方を徹底的にかつ明確に伝えておくことが重要だ。 例えば業務との向き合い方について『ミスしないようにしよう』とあいまいに伝えるのではなく、『ミスは2回までならしょうがないが、3回目はいけない』と明確に伝える。そうすれば、自分自身でもルールを破ってしまったと感じるし、マネジャーからある程度叱責されても、納得感を持って受け入れられるだろう。
また、ルールや考え方は単なる思い付きではなく、客観的に納得できるものである必要があるし、人によって対応の差をつけるのはもってのほか。どんなに成績が良くても、ルールを破ったら“締める”と伝える。 時には嫌われ役となってでも、それを徹底して組織を律するのが、マネジャーの仕事だ」 横山氏はこうした組織を律するマネジメントの事例として、ある中堅企業部長のエピソードを挙げる。この部長が率いるチームでは、3回以上の遅刻で評価を下げるとメンバーに伝えていたという。
そんな中、ある課長が営業会議を3回連続で遅刻したことがあったという。課長は「電話対応があったので……」と言い訳をしたものの、社長が出席するような会議には決して遅刻しないことを部長は知っていた。 また、安定して好成績を出しつつ、部下からの信頼もあつい課長であったが、部長は「ルールはルール」と課長の評価を落とした。その後、猛省した課長は遅刻を全くしなくなり、かつ期限ぎりぎりに資料を提出することが多かったのが一変。余裕をもって提出するようになるなど、さまざまな効果があったという。
部下を厳しく指導することが難しくなった今日この頃だが、もちろん適切な状況であれば、ハラスメントには該当しない。ひとりの弛みが他のメンバーに影響することもある。そう考えると、阿部監督の指導には、一定の効果があったのは間違いないし、むしろこの令和の時代にあって、勇気を出して指導できていると評価できそうだ。 ■若手のフォローやファンへの“直訴”も そんな厳しさの一方で、優しさも見せたのが阿部采配だった。特に目立ったのが、高卒2年目の今シーズンにブレイクした浅野翔吾へのフォローだ。