<W杯ラグビー>ジャパン主将のリーチが語るNZ連覇の可能性
特にバックロー陣を「彼らを観ていると、日本人は小さいからできないという言い訳は成り立たなくなる」との視点で注目する。確かにワラビーズでは、デイヴィッド・ポーコック、マイケル・フーパーといった身長180センチ台のオープンサイドフランカー(背番号7、黒子役に徹する)タイプの選手が2人並び、身長198センチのスコット・ファーディーも地面の球に絡む仕事人だ。 しかし…。 「最近、東芝にいるリチャード・カフィ、タネラウ・ラティマー(ともにオールブラックス経験者)と話していたんです。ワラビーズにオープンサイドフランカーが2人いることで、オールブラックスはブレイクダウン(密集)の対策をしっかりしてくるだろうな、って」 そう。オールブラックス、ならびにニュージーランド全体の真の強みは「相手の弱みやミスを狙いまくる」ところだという。事実、リーチ本人も、チーフスでプレーし始めた頃から「分析」という言葉をよく使うようになった。 「チーフスがクルセイダーズと試合をした時も、(相手のスタンドオフである)ダン・カーターのキックモーションが長いからと、どんどんプレッシャーをかけた。分析のスタッフが用意したビデオクリップを観たうえで、メンバー1人ひとりの特徴、強み、弱みを(所定のシートに)書いていきます。その選手がどういう人間性かも、わかるくらいです。今度のオールブラックスは戦術に頼らず、ブレイクダウンで前に出ることを大事にすると思う」 バックス陣ではオールブラックスのカーター、ノヌに対し、ワラビーズには技巧派センターのマット・ギタウがいる。 「ボールも動くだろうし、面白くなる」ともリーチは話す。 その「動く」の起点のブレイクダウンで、「(オールブラックスの)ボールキャリーが(ワラビーズのタックルとぶつかった後に)簡単に倒れないようにする(結果、味方がサポートをしやすくなる)」と予測するのだ。もしここでオールブラックスが、簡単に倒れたら、今度はワラビーズが勝機を見出すか…。 とにかく、盤石なオールブラックスにがむしゃらなワラビーズが噛みつく構図がくっきりと浮かび上がる。「オールブラックスが勝つと思う」と言うリーチとて、接戦は必至と見る。決勝戦は日本時間で11月1日の午前1時、キックオフ。 (文責・向風見也/ラグビーライター)