大気汚染で年間4000人死亡! そんな渋滞ロンドンに登場した「信号システム」の驚きパフォーマンスとは
日本の新しい信号システム
東京の場合はどうか。 都内には約1万6000基の信号機がある。その半分は、交通管制センターによってコントロールされている。 同センターでは、信号機等に取り付けられた車両感知器により交通量を把握している。渋滞が発生したり、その拡大が見込まれたりした場合、職員が青信号の長さを数秒延ばすなどといった調整を行う。このマニュアル作業には、道路を映すモニターの確認などが必要であるため、渋滞の抑制に時間がかかってしまうこともあるという。 そんななか、警視庁は渋滞を緩和する施策のひとつとして、2023年10月に新しい信号システムの導入を発表した。人工知能(AI)が過去の交通データから渋滞状況を予測したうえで、青信号の長さをコントロールするものだ。 このAI「QTNN」は、交通量や平均速度といったデータを基に30分後の渋滞の長さを予測する。その誤差は40m以下になる。開発に関わった住友電工によれば、交通渋滞の有無や長さを予測するのは難しいとされていたが、 「交通工学の知見と、近年注目を集める深層学習と交通ビッグデータを融合」 することで実現できたという。交通渋滞が予測できれば、それを先回りして信号でコントロールでき、渋滞の発生防止ができるという考えに基づく。 AIを使った信号システムは、中国の一部都市やインドネシアのジャカルタでも導入が発表されている。 各国それぞれの交通事情があるだろうが、それぞれが違った考えをベースにして信号システムを開発しているのであれば、何が一番効果的なのか、情報を共有していってほしいものである。どの国においても、ベストな信号システムを持てたら世の中がぐっとよくなるはずだ。
鳴海汐(国際比較ライター)