「ちょっと操作すれば顧客満足度1位にできます」企業が欲しい〝称号〟つけ込む市場調査会社 はびこる違法広告、消費者庁が問題視
協会の担当者によると、こうした活動の効果もあり、コンプライアンスを重視する都市部の大企業は、適切な調査手法や表示に基づいて広告を出すようになってきた。ただ、その結果、「No.1調査」を請け負う不適切な業者は地方の中小企業を狙って営業するようになっているという。 ▽消費者庁の対応と景品表示法 消費者庁も手をこまねいているわけではない。先に挙げた2社に対し、景品表示法違反で措置命令を出した際、処分内容と社名を公表した。このうち、東京のオンライン家庭教師会社に対しては6千万円超える課徴金納付命令も出した ただ、景品表示法には限界もある。違法だとしても課徴金納付を命じることができる対象は広告を出した会社であり、お墨付きを与えた市場調査会社は規制の対象外となっている。 今のままでは、不適切な調査をする業者が野放しになるのではとの懸念が拭えない。この点について消費者庁の幹部は「いいかげんな調査を使えば処分を受けることになると、個別の事件で訴えていく」と説明している。
景品表示法は、今年5月に改正法が成立。施行されれば、今後は行政措置などの前提がなくても100万円以下の罰金を科すことが可能となった。 景品表示法に詳しい染谷隆明弁護士は改正法の意義をこう語る。 「故意かどうかなど立証のハードルこそあるが、罰金刑であれば刑法の共犯規定を使ってマーケティング業者にも(処分の)手が届き得るようになった」 一方で当局の規制には限界があるとして、No.1を掲載するのであれば広告主が合理的な根拠をしっかりと示すことが重要だとも指摘している。「そのNo.1が、本当にNo.1であることを対外的に説明できるようにすべきだ」