「ちょっと操作すれば顧客満足度1位にできます」企業が欲しい〝称号〟つけ込む市場調査会社 はびこる違法広告、消費者庁が問題視
▽行政処分 消費者庁は今年、東京都内のあるマーケティング業者が実施していた調査結果を元に「No.1広告」を掲載した企業2社(※1月と6月です)に措置命令を出した。このうち、福岡市のペット関連企業は「犬の白内障改善」をうたったサプリメントを販売。「口コミ人気」など7冠達成と掲げていた。この会社の社長に話を聞くと、そもそもサプリ自体に病気改善効果はない。それでも調査会社からNo.1を得られたという。 調査の実態はずさんだった。犬を飼っていない人にも尋ねたり、選択肢の上位にこのペット関連企業を置いたりする手法だったという。消費者庁の処分後、このマーケティング業者に取材を申し込むと、書面でこんな回答が寄せられた。 「手法が消費者を誤認させると認識し、サービス提供を停止するに至った」 「(調査結果は)市場の実態と乖離していた点もあった」 ただ、このマーケティング業者からお墨付きをもらった一部の広告主は、依然として自社サイトなどで「No.1」を掲げている。
業者は共同通信の取材に「1位を前提とする、確約するような営業活動は行っていない」と弁明したが、取材を進めていくと、この業者の担当者が顧客に送った営業メールを確認できた。メールには「No.1の表記を使えるようにする」「取得できなかった場合、費用はいらない」と記載されていた。 ▽地方にはびこる 市場調査の専門会社でつくる「日本マーケティング・リサーチ協会」は、不適切な調査の横行が業界全体の信頼性を低下させていると危機感を抱く。今年8月には歯止めをかけるべく、ホームページ上に次のような提言を公表している。 「調査概要を公表し、一般消費者自身に当該No.1調査が公正な調査であるか否かを判断する機会を提供すること」 「『満足度No.1』と広告表示するためには、その基礎となる調査対象者は、当該商品やサービスの購入者・利用経験者であるべきだ」 さらに、広告主企業に対しても、セミナーなどで表示の適正化を訴えてきた。