25件の突然死・自死は“氷山の一角” 「郵便局員過労死家族会」が発足、パワハラや労働環境の問題を訴える
配置転換や「トヨタ生産方式」、郵政民営化が影響
倉林さんは、郵便局員の自死事件が激増したのは1990年代後半からだと説明した。 「以前は、地域のことを隅々まで把握している『地域密着型』の局員が全国各地にいた。局員たちは『自分は生涯その地域で生きていく』と考えていた。 しかし、90年代から『人事交流』という名の、意に反した配置転換が行われるようになった。以降、過労自死が増えていった」(倉林さん) 2003年には越谷郵便局に効率化やサービス向上を目指すための「トヨタ生産方式」が全国に先駆けて導入、翌2004年にさいたま新都心局にも導入された。しかし、両局の労働環境は大幅に悪化し、2010年までに各局で2件ずつの死亡事件が起こっている。 2007年に郵政民営化法が施行されて以降は、非正規社員が大幅に増加した。前記した新東京郵便局の3件を含めて、近年では非正規社員が死亡する事例が多い。札幌豊平郵便局の事例では、いじめの加害者・被害者の双方が非正規社員だった。 「非正規雇用を激増させたことにより、全国の職場でかつては考えられなかったような状況があらわれ、いじめやパワハラが起こっている」(倉林さん)
弁護士JP編集部