《食道がんを疑う5つの症状》男性に多い食道がん。喫煙と飲酒、さらに夏に食べたくなるアレが好きな人も要注意
初期の段階では自覚症状はない
食道がんには主に扁平上皮(そうへんじょうひ)がんと腺がんの二つのタイプがあります。 食道の一番内側の粘膜は重層扁平上皮(じゅうそうへんぺいじょうひ)で覆われていて、そこにがん細胞が発生するのが扁平上皮がんで、日本人の食道がんの90%以上はこのタイプといわれています。 近年は、逆流性食道炎と関連が深く、胃酸が逆流を繰り返すことで食道の粘膜が胃の粘膜に置き替わるバレット食道の状態になり、バレッド食道腺がんも増加傾向にあります。 食道の粘膜で発生したがん細胞は、大きくなると外側に広がっていきます。食道の周りには気管、肺、心臓、大動脈があり、がんが食道壁の外にまで広がるとすぐにこれらの臓器にも浸潤(がん細胞が広がること)します。 がん細胞が食道の壁のリンパ管や血管から侵入し、リンパ液や血液の流れに乗って他の臓器やリンパへと到達し、転移が起きるのです。 このようにがんの発見や治療が遅れることで、治療はさらに困難になり、大掛かりな手術になることも。そのために早期発見、早期治療は大切です。 食道がんは初期の段階ではほとんど自覚症状は出ませんが、食道がんを疑う5つの症状があるので見逃さないようにしましょう。
熱いものが胸にしみる、声がかすれる
症状1:熱いものが胸にしみる 熱いものを飲んだり、食べたりすると胸のあたりがしみた感じがするというのは、他の病気ではあまり見られない症状で、食道がんの特徴です。 熱いものが胸にしみるようなら、すぐに医療機関で検査をしてもらってください。 症状2:チクチクとした胸の違和感 食べ物を飲み込んだときに、胸にチクチクした痛みを感じる、普通にしていても違和感を覚えるのも初期症状の一つです。食道がん以外にも肺など、他の臓器からのサインかもしれないので、医療機関を受診しましょう。 症状3:食べ物がつかえる 初期症状とはいえないのですが、食道にがんができ、進行すると食べ物がつかえます。 日常生活の中でちょっと大きなものを食べてしまって、つかえる感じがあるとか思いますが、食道がんの疑いのあるつかえる感じは頻度が多くなります。 1カ月前は1回しかそんな感じがなかったのに、最近は2~3回食べ物がつかえるようだったら、食道がんの疑いは強くなります。 ただし、逆流性食道炎でも食べ物がつかえる感じが出てくるので、内視鏡検査をするようにしてください。 症状4:声がかすれる 声帯を司る反回神経は食道のすぐ近くを通っています。食道のがんが大きくなるとその神経を触ってしまい、障害がおき、声がかすれるようになります。 声がかすれると声帯、咽頭、喉頭など喉の症状という可能性がありますが、1~2週間経っても治らない場合は、医療機関を受診して検査しましょう。 症状5:胸や背中の痛み がんが進行してくると、食道の周りの神経を傷つけてしまうため、胸や背中に痛みを感じるようになります。 胸や背中の痛みは筋肉痛と見分けがつきにくいかもしれませんが、筋肉痛は動いたときや体勢を変えたときに痛みを感じますが、内臓が悪い場合は、じっとしていても痛みを感じることが多いです。気になるようでしたら、早めに医療機関で受診してください。 以上のような気になる症状がある場合は、医療機関で食道がんの検査を受けましょう。 食道がんの検査は一般に胃カメラ検査を行います。内視鏡で食道の中を観察し、がん細胞がないか確認します。 また、がんが疑われる箇所があった場合、組織を少量採取し、生検を行い、がん細胞を確認することもできます。 飲酒をすると顔が赤くなる、飲酒や喫煙の習慣のある人や中高年の人は、年に1度は、胃カメラ検査をすることをおすすめします。 取材・文/百田なつき
伊勢呂哲也
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