中国、早めの統計公表で強気の景気シナリオ演出-効果小さいとの指摘
(ブルームバーグ): 中国当局は成長が鈍化しつつある自国経済について、ポジティブなシナリオを形成しようと新たな戦略を用いている。市場に好影響を与えようと、お世辞にも良いとは言えない経済ニュースをいち早く開示することだ。
財政省の廖岷次官は21日、北京で記者会見を開き、予算データの明るい点を指摘。通常の月次予算統計発表に先立ち発言した。
「景気回復の促進にプラスに働くと信じている」と廖次官は述べ、1月と2月の予算執行が過去5年ほどで最速ぺースだったと強調。一方、歳入の減少については、ベース効果によるゆがみがあると主張した。予算の月次データは普段、解説なしで公表される。
李強首相は1月、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会で中国が2023年の成長目標を達成したといち早く述べた。李首相のこの発言は、公式発表の1日前だった。
中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は1月24日、2月5日に市中銀行の預金準備率を0.5ポイント引き下げると発表した。
人民銀総裁が記者会見で先手を打って預金準備率の引き下げを明らかにするのは異例だったが、この動きは中国株と債券の値上がりを招いた。王文濤商務相は今月、輸出統計発表予定日の前日に行われた記者会見で、予想を超える輸出増加を明らかにした。
不動産危機と弱い内需が景気センチメントの足を引っ張る中で、こうした発表スタイルの変更は、当局が中国経済への信頼を高めようと躍起になっていることを示唆している。
ビジネス環境を改善させるという中国政府の言い分に対し、「公約疲れ」を抱いていると外国人投資家は真情を吐露している。
ギャブカル・ドラゴノミクスの中国調査担当副ディレクター、クリストファー・ベダー氏は相次ぐ早期のデータ公表について、「経済当局が政治の影響を感じていることを示唆している」と述べた。
その上で、この「奇妙な発表」には共通するメッセージがあるとし、「事態が予想以上に好転しているか、あるいは当局が事態を好転させるための措置を講じているかのどちらかだ」との見方を示した。