【高校サッカー選手権】終盤、10分間で3得点。必然の逆転劇で横浜創英が3-1で勝利
10月19日、第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選2次予選3回戦が行われ、横浜創英と横浜隼人が対戦。試合は横浜創英が3-1で勝利し、準々決勝進出を決めた。 【フォトギャラリー】横浜創英 vs 横浜隼人 先制したのは横浜隼人。前線からの素早くプレスと前を向かせない守備で攻勢に出た横浜隼人は前半16分、相手陣内の高い位置で奪ったFW9川井柊翔(2年)がドリブルを仕掛け、ゴールにむかって一直線。狙い通りのショートカウンターから先制に成功した。劣勢に立たされた横浜創英は一方的に押し込むが、横浜隼人のスペースを使わせない守備とロングボール、そして攻守における球際の強さに苦慮する時間が続いた。 状況を好転すべく後半開始、横浜創英はFW11川上哲平(3年)を投入。前線からプレスをかけ続けるFW11川上の起用で、MF7福田裕翔(3年)、DF2岡本ナオ(3年)、DF14 河井誠治(3年)らが攻撃参加。なかでもDF2岡本の良質なクロスで徐々にチャンスを広げた。 あとひと押しが続くなか、後半29分、左サイドMF10小川秀太(3年)のクロスにゴール中央FW11川上が決め、同点。5分後の34分、コーナーキックから最後は途中出場のMF18波多野匠(3年)が押し込んで逆転。さらに5分後の39分には左サイドから突破したMF7福田がそのまま決め、3点目を挙げて、勝負あり。終盤、10分間で3ゴールを決めた横浜創英が逆転勝利を収めた。 「ハーフタイムで選手には『慌てなくいい。大丈夫、このままで行こう』そう言いました」と横浜創英・宮澤崇史監督。そう伝えたのは約5ヶ月前、ほぼ同じ試合を経験していたからだ。令和6年度関東高校サッカー大会Bグループ1回戦・検見川戦(5月25日)。試合は同様、先に失点したものの、終盤、残り約10分で3得点を挙げての勝利。 宮澤監督は「試合の主導権は握れていたので、1点決まれば、追加点が入ると見ていました。その1点がもう少し早ければよかったですが、想定内の戦いができました」と言えば、同点弾をアシストしたMF10小川は「このまま続けていれば、ゴールは入ると思いました。慌てずにボールを動かせば、相手は疲れてくると思っていました」と振り返った。 また1年生ながらFKを任され、2点目に関与したMF22 鈴木快(1年)は「相手は気持ちが入っていて球際が強かった印象があります。ただ僕たちは前に蹴るサッカーではなく、ひとつひとつ、つなぐサッカー。序盤は難しかったですが、動きはだいぶ良くなりました」と語った。 焦れず。慌てず。なによりブレず。自分たちのサッカーを続けた横浜創英。 「選手たちはさまざま経験しているのでタフさ、諦めない気持ち、ひたむきさ、団結力など数値化できない能力があります」と宮澤監督が胸を張るのも理解できる。 そのチームにあって、欠かせないのが主将のFW11川上。筋肉系のケガで約2ヶ月間、離脱したが、先週、試合に復帰したばかり。それでも「ピッチで背中を見せられる選手。先頭になってチームを引っ張れる選手」と指揮官からの信頼は変わらない。「後半開始前、イレブン全員に「平常心でやろう」と伝えました。しかし選手権という舞台、引退のかかった試合、平常心を保とうとしましたが、終盤までなかなか自分たちの形が見せられませんでした。同点にさえ追いつけば、行けると思っていましたし、実際、『いけるぞ』と確信しました(FW11 川上)」そのFW11川上、宮澤監督によれば、成績は学年トップクラス。生活態度は「僕が感心するくらい良いですし、大人が見てもきちんとしている生徒」というほど。イレブンが自然と集まる光景にFW11 川上の人柄がうかがえた。必然の逆転勝利を遂げた横浜創英は今月26日、準々決勝で相模原弥栄と対戦する。 (文・写真=佐藤亮太)