桃農園にソーラーパネルを? 父は激怒、妻や妹夫婦は「ラクに稼げる」と傾いて…大家族につきつけられた“苦渋の選択” 「太陽と桃の歌」を採点!
〈あらすじ〉
スペイン、カタルーニャ地方の小さな村アルカラスで、ソレ家は三世代の大家族で桃農園を営んでいる。ところが、ある夏の日、今夏の収穫を最後に土地を明け渡すよう地主に迫られる。桃の木を伐採し、ソーラーパネルを設置するのだという。 なす術もないソレ家だったが、地主は、農園の代わりに、パネルの管理を任せると提案。父親のキメットは論外だと激怒するが、彼の妻や妹夫婦は「楽に稼げる」という噂に気持ちが傾く。喧嘩が絶えない大人たち、不満を募らせる子供たち……。仲の良かった大家族はバラバラになっていく。
〈解説〉
『悲しみに、こんにちは』に続くカルラ・シモン監督・脚本作。時代の急激な変化に直面し危機に見舞われた家族を描くヒューマンドラマ。第72回ベルリン国際映画祭コンペティション部門金熊賞受賞。121分。 中野翠(コラムニスト)★★★★☆桃農園の大家族につきつけられた苦渋の選択。話の展開は予想通りだが、農園だけあって広々とした豊かな緑。なごみます。 芝山幹郎(翻訳家)★★★★☆大家族の話は共感しづらいのだが、カタルーニャの光に映える木々の青葉が眼の奥に残る。情感に作為の少ない挽歌だ。 斎藤綾子(作家)★★★★☆ソレ一家の想いがリアルに伝わり、農園を失う今が食料のない未来を暗示か。何も考えずに飲み食いする身には怖い物語。 森直人(映画評論家)★★★★☆夏の生気の高揚と、大家族の営みを圧殺せんとする資本の暴力。愛しさと痛みが胸に迫る。地元のノンプロ俳優達に拍手。 洞口依子(女優)★★★★☆アルカラスを背景に冒頭のワイド、収穫、狩猟、搾取などの場面で表現する自然主義な目線。農業大国日本人は必見かも。 INFORMATIONアイコン太陽と桃の歌(スペイン、伊) 12月13日(金)より全国公開 https://taiyou-momo.com/
「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年12月12日号
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