「希少種守る目的達成」 奄美大島のマングース防除検討会 根絶後も外来種対策を継続
鹿児島県奄美大島のマングース防除事業検討会(座長・石井信夫東京女子大学名誉教授)が3日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。マングースの根絶確率について検討委員は「根絶した可能性が極めて高い」と評価。石井座長は在来生物の生息数が回復していることに触れ、「マングースの捕食影響がはっきりと示され、希少種の絶滅を防ぐという事業の目的を達成できた」と語った。 奄美大島でのマングースの捕獲数は2018年4月以降ゼロの状態が続いている。モニタリング調査などのデータやこれまでの捕獲実績などの情報に基づいて根絶可能性を算出する数理モデルを用いて、委員と環境省などの関係者でつくる作業部会が根絶の可能性を検証していた。 検討会では根絶後のマングースを含めた外来種の侵入・定着防止に向けた新たな計画案が示され、防除事業の中心的役割を担った奄美マングースバスターズ(AMB)の人材と技術の活用や、外来種の侵入確認時の初動対応などについて協議した。山中に設置したわなは撤去作業を行っており、24年度中の完了を目指す。 検討会の評価を受けて環境省は同日午後、記者会見を行い根絶を宣言。AMBのメンバーや自然保護団体などが詰めかけ、会場は大きな拍手で包まれた。 05年の結成当初からAMBのメンバーとして活躍している大和村津名久の吉原隆太さん(57)は「年齢的に体力が落ちる中、最後まで見届けられてよかった」と喜んだ。NPO法人奄美野鳥の会の永井弓子会長(49)は「この日を迎えられたのはバスターズのおかげ。アマミノクロウサギやオオトラツグミの調査に関わり、生息域の拡大や数の増加を実感している」と話した。 沖縄島北部のやんばる地域でもマングースの防除事業が進んでいる。環境省から事業を受託する南西環境研究所の中田勝士自然環境室副長(40)は「やんばるではイノシシによる筒わなの破壊が問題で、探索犬の役割が重要になってきている。奄美の結果を見て、沖縄でも根絶を達成したい」と話していた。