資本効率改善急ぐ日本企業、株主還元や事業再編の駆け込み発表相次ぐ
(ブルームバーグ): 資本効率の改善に向けた上場企業の取り組み状況に投資家の多くが注目する中、2023年度末にかけて自社株買いの取得など株主還元策の拡充や事業再編などの発表が相次いだ。
トヨタ自動車の関連会社で車載照明器具メーカー小糸製作所は3月28日、発行済み株式総数の11.37%に当たる3500万株、金額で500億円を上限にした自社株買いなど5年間で合計2000億円の株主還元を実施すると発表した。発表のタイミングが想定外だったことから市場で驚きを持って受け止められ、小糸製株は発表翌日の29日の取引で前日比500円(25%)高の2535円とストップ高まで買われた。
小糸製、28年度までに株主還元2000億円以上目指す-自己株取得も発表
ブルームバーグの集計では、今年1-3月期に発表された企業の自社株買い枠の総額は2兆1065億円と、前年同期に比べ55%増加した。
同じトヨタグループ内の動きでは、自動車部品大手のデンソーが株式の持ち合い解消の一環として、フォークリフトや車両組み立ての豊田自動織機の全株式を最大2年半をかけて売却すると発表した。ブルームバーグのデータによると、トヨタはグループ全体でデンソー株を26.65%、豊田織株を35.75%それぞれ保有する筆頭株主だ。
デンソー、豊田織の保有全株を売却へ-総額約4640億円相当
総合家電大手のパナソニックホールディングスも、事業ポートフォリオの再編策を発表。自動車部品関連事業を手掛ける連結子会社のパナソニックオートモーティブシステムズの株式を米国の投資会社に売却する一方、サプライチェーン管理システムの米ワン・ネットワークをパナソニックの子会社ブルーヨンダーが1270億円で買収する。
パナソニック、オートモーティブシステムズ株を米アポロに売却
パナ傘下ブルーヨンダー、米ワン・ネットワークを1270億円で買収
リブラ・インベストメンツの佐久間康郎代表取締役は、一連の動きがどの程度年度末直前で急かされたものであったかどうかは不透明なものの、「こうした動きは今後一段と出てくるだろう」との見方を示した。