米エネルギー省が鉄鋼大手の脱炭素設備へ巨額支援を検討。SSAB=水素還元製鉄、クリフス=DRI・電炉新設
米国エネルギー省は25日、鉄鋼メーカーを含む脱炭素の設備投資33件に対し最大60億ドルの支援を行うと発表した。鉄鋼の大型案件では、スウェーデンを本拠とするSSABとクリーブランド・クリフスのプロジェクトが選定された。 SSABは水素還元製鉄「HYBRIT」の設備を新設する可能性に対し最大5億ドル(約750億円)の支援を受けられる交渉対象者に選ばれた。SSABは米事業の一つ、アイオワ州モンペリエで電炉工場を操業。同工場では鉄スクラップからスラブや鋼板を製造し、スウェーデンで圧延する炭素排出フリー鋼材「SSABゼロスチール」の上工程としても活用されている。SSABはモンペリエでの生産能力引き上げや再生可能エネルギーの利用拡大も検討するとしている。 エネルギー省は、米鉄鋼大手のクリーブランド・クリフスも支援候補に選定。オハイオ州のミドルタウン製鉄所で水素を還元剤とする年産能力250万トンの直接還元鉄(DRI)プラントと電炉を新設し、既存の高炉を置換する計画に最大5億ドルが支援される可能性がある。電磁鋼板を製造するペンシルベニア州のバトラー工場でもスラブの加熱炉で最大7500万ドルの支援を受け、天然ガスを熱源とする既存の2基から電気加熱炉4基とすることでCO2排出や年間8千万ドルのコスト削減、プロセス改善による2万5千トン分の生産能力向上につながるとしている。 このほか鉄鋼関連ではヴァーレや鋼管メーカーのプロジェクトが支援候補となっている。