給湯室から聞こえた「マジきもいよね」…女性社員から嫌われていた上司が無意識に踏んでいた“地雷”とは【アナウンサーが伝授】
男性上司が無意識に踏んでいた地雷
女性がそのような行動をとってしまったのは、Aさんの「理詰め」が原因でした。 Aさんとしては「仕事は仕事」と考え、女性の話を早々に切り上げました。さらに、「いま、私が聞きたいのは、そのような話ではない。君がこの面談で話すべき内容は、仕事が納期に間に合わない理由とその解決策だ」と正論を唱えたのです。 一方、女性としては、心配事で頭がいっぱいだったと思われます。出勤時に誰かに付けられていると思うと、気が気でない状況でしょう。帰りの夜道の心配もあり、気持ちの落ち着かない状況が仕事にも影響していたのかもしれません。 女性は面談でAさんに正直に話したのに、軽くあしらわれてしまった、むしろ怒られたと感じたはずです。 女性に限りませんが、このように「心配事で頭がいっぱい」という状態の相手に対し、頭ごなしに怒ったり、正論を言ったりしても、聞く耳を持ちません。まずは聞き役に回り、相手の不安な気持ちを吐き出させることが必要です。その場は必要な対応に留め、注意のための面談は改めて落ち着いてから行うほうがよいでしょう。
安心感を持つと女性は活躍する
頭がいっぱいになる理由は、誰かに怒られた、家庭でショックな出来事があった、人間関係で心配なことがあるなど、人によってさまざまです。男性上司にとっては「そんなことで?」と感じたり、「仕事ではやるべきことをやってほしい」と思うかもしれません。 しかし、筆者がたくさんの女性メンバーと働くなかで実感するのは、女性はこうした心配事への不安が仕事のモチベーションやパフォーマンスにも影響しがちだということです。 そのため、まずは相手が安心できる状態にすることが必要です。女性は共感できる仲間がいる、頼れる上司がいるなど、安心感を覚えることで、能力を発揮するからです。 筆者の経験では、こんなことがありました。商談に出かけていた女性部下がひどく落ち込んだ顔で帰ってきました。「先方に怒られました」「私がダメダメで……」と頭がいっぱいの様子です。上司である筆者にも怒られると思っていたようで、目も合わせません。 そこで、商談でなにがあったのか、そのときどう感じたのか、1対1でじっくり話を聞くと、少しずつ落ち着いてきました。その後、職場のみんなにチョコパンを買って差し入れしたところ、彼女もそれを食べながら元気を取り戻しました。そして自ら顧客に再度アポイントを取り、後日挽回することができました。 不安な気持ちを吐き出したこと、職場の仲間とホッとできる時間を過ごしたことで安心感を覚えたのでしょう。 一方、心配事を相談したときに上司に冷たくあしらわれたり、理詰めされたりすると、「あんな上司、もう嫌い」と女性部下が感情的になってしまうこともあります。冒頭の同期女性たちに「Aさんが私を追い詰めた」と告げた女性はまさにそのような状態だったのでしょう。また、「相談してもどうせ理解されない」と思い込み、そもそも、男性上司には相談できないという女性も多いです。 男性脳は論理性を重視し、女性脳は感情に重きを置くと言われます。女性は共感や感情を重視する人が多いことを知ったうえで、日ごろから関係性を築き、いざというときは心配事に共感しながら耳を傾けることが大事です。 樋田 かおり 株式会社トークナビ 代表取締役/アナウンサー
樋田 かおり