認知症による行方不明は過去最多に「認知症で要介護3の母のひとり歩き」問題への対処法【社会福祉士解説】
警察庁によると、認知症やその疑いによる行方不明者は1万8700人と過去最多に(2022年調べ)。認知症の実母の介護経験をもつ社会福祉士の渋澤和世さんも、母が黙って外に出てしまうことに不安を感じていたという。実例をもとに、認知症の人がひとりで外出して迷子になってしまうといった困った問題の現状と策を教えてもらった。 【画像】母のひとり歩きの対策で筆者が活用していた窓の補助鍵 イラストで確認
この記事を執筆した専門家
渋澤和世さん 在宅介護エキスパート協会代表。会社員として働きながら親の介護を10年以上経験し、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得。自治体の介護サービス相談員も務め、多くのメディアで執筆。著書『入院・介護・認知症…親が倒れたら、まず読む本』(プレジデント社)がある。
高齢の親がいなくなった!困った実例
筆者は働きながら認知症の実母の在宅介護をしていたとき、玄関のカギをかけずにいると、母はササっと外に出てしまうことが度々ありました。もともと社交的な性格で誰とでも打ち解けるため、近所の公園で誰かとおしゃべりしている母を見つけたときはホッとしましたが、「行方不明になって事故にでもあったら…」と不安な思いを抱えていました。 また、筆者の知人は、認知症の母が昼間に自宅からいなくなってしまい、夕方、池袋駅で保護されました。縁もゆかりもない池袋に向かったのかは本人も説明できず、謎のままだそうです。 ほかにも、あるグループホームでは、男性利用者が夕方姿を消し、次の日の早朝に歓楽街でうずくまっていたところを保護されたという事例も。この男性は、若いころ通っていた場所とのことで、なにか目的があったのかもしれません。 無事に保護されるケースばかりではなく、外出先で事故に合うなどの死亡事例もあり、社会問題となっています。 体が元気で歩き回れる認知症のかたは本当に注意が必要です。そこで、認知症のかたのひとり歩き、外出中に行方不明になるといった問題の現状と対処法を解説していきます。