Lampによる5年ぶりのライブ。手にしたレコードを聴きその余韻にいつまでも浸る。
美しく、心地いい、体を突き動かす音があった。
2024年の8月20日、21日に鶯谷の「東京キネマ倶楽部」にて、Lampの5年ぶりとなるワンマンライブが行われた。来場チケットには20年前にリリースされたアルバム『恋人へ』のアナログ盤も付いてくるとのこと。期待をせずに申し込み、20日の公演にめでたく当選。プレミアムなチケットを手に入れて、その日を待ち望んでいた。 バンドはいつの時代も僕らの気持ちを熱くする。
当日は一人ずつスポットライトを浴びながら登場。1曲目の「青い海岸線から」が始まるやいなや、鳥肌が立った。まるで音がロケットのように飛び出してきたかと思うほどの迫力だ。ランプの曲は力強く、優しい。「着席だとお客さんが見えないから不安」と3人ともにMCで言っていたけれど、観客全員が聞こえてくる音を全身で浴びながら、自由に楽しんでいたように思う。個人的には「冷ややかな情景」を聴けたのが嬉しくて、とにかく踊ったことを覚えている。
お決まりの「さち子」、アンコールの「最終列車は25時」を含めて全部で18曲。あっという間の2時間半だった。翌日のセットリストは1日目からガラッと変わったそう。両日行けた幸運な人は果たしているのだろうか。帰りの電車にはお土産のレコードを笑顔で眺めている人の姿も。 帰宅して早速『恋人へ』を流すと、数時間前の情景が思い浮かんで、終わってしまった寂しさも募ってきた。今後このレコードを手にするたびにきっと、この日のライブを思い出すだろう。
プロフィール
Lamp ランプ|2000年結成。染谷大陽(Vo, Gt, Key)、永井祐介、榊原香保里からなるバンド。染谷と永井は作詞作曲、榊原は作詞を担当。2024年には初の北米ツアー「FUTURE BEHIND ME」を開催。
LISTEN now!
恋人へ(2024/Botanical House) 2004年に「MOTEL BLEU」からリリースした2ndアルバムをアナログ盤としてリリース。ノスタルジックながらも洗練された元気をもらえる一枚。収録曲「恋人へ」や「恋は月の蔭に」のMVでは3人と街並みが映し出され、知らない場所さえ懐かしく思えてくる映像に涙。現在はライブ会場でのみ販売。今後、一般販売の予定もあり。 photo: Hikari Koki, text: Nozomi Hasegawa(2024年11月 931号初出)
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